2016年夏の陣 概評

2016年夏の陣 概評


アルファベットは(難)D>C>B>A(易)の順で、出題分野も大まかなものです。

① B ABⅢ/平面図形、ベクトル(?)、空間座標、積分法(体積)
② B ABⅢ/複素数平面、数列、平面図形、最小
③ B A/確率
④ C ⅡⅢ/座標(通過領域)、2次曲線(楕円)、積分法(面積)
⑤ C A/整数
⑥ C Ⅲ/座標(通過領域)

150分での目標得点率は5~6割というところでしょうか。


問題に関して、少しコメント。

第1問は回転体の問題で、今年(2016年)の東大第6問も実はこのタイプです。問題自体は既に出来上がっておりストックしてあったものなので、前回の冬の陣で出しておけば良かったと悔やまれます。平面で考えてから回す、という基本を徹底していれば全く問題なく解答できるはずです。

第2問には新課程ということで複素数平面の問題を配置しました。この単元の中では比較的簡単な部類に入ると思うのですが、どうでしょう?

第3問は長文ですが見かけ騙しです。もしかしたら一番点を取りやすいかもしれません。

第4問はどこかで見たような問題ですね(笑)。ちょっとは捻っておきましたが、通過領域の対策をしていれば完答可能でしょう。積分計算も意外とすんなり処理できます。(cf.2015年東大理科第1問)

第5問は恐怖の一行問題(笑)ですが、今年(2016年)の入試では京都大や東北大などで手抜き整数問題が出題されましたので、その流れに乗ってみました。本問は素数の使い方が上手い問題です。

今回のセットで最も歯応えのある問題が第6問でしょう。場合分けが多く、計算ミスが発生しやすいのではという懸念から順像法によるアプローチを誘導設問として配置しましたが、寧ろ逆像法の方が簡単かもしれません・・・。なかなか癖のある問題になってしまいました。

今回の出題テーマは「簡潔さ」です。シンプルな問題では方針の立て方が非常に重要です。見通しを持って答案を作りたいものですね。(出題サイドとしては点が取りやすくバランスの良い問題設定としたつもりですが、実際は・・・?)


一行問題というのは、それを見た者に大きな恐怖を与える効果があります。・・・本当ですよ(笑)。

今となっては有名な問題ですが、2006年の京大後期に次のような出題がありました。

「$\tan 1°$は有理数か」

京大の場合は問題冊子の見開きページにまとめて問題が載っているのでまだマシですが、これがもし東大の問題冊子に載っていたら、そのページにはこれ以外に文字が無いのですからその殺風景な見た目に思わず心細さを覚えてしまいます(正確に言えばページ下の隅によく分からない番号が振ってありますが・・・)。全くと言って良いほどヒントの無い問題を前にすると、やはりほとんどの受験生は固まってしまうようで、この問題の正解率はそれほど高くなかったようです。因みに$\tan x°$が有理数となる$90$未満の非負整数$x$は$0$と$45$の2つに限ることが知られており、高校数学の範囲で証明可能です。

ともかく、一行問題には受験生をビックリさせる力があるようです。2015年の東大前期理科第5問にも一行問題が登場しています。(紙の無駄とか言わないように!)

「${}_{2015} \mathrm{C}_m$が偶数となる最小の正の整数$m$を求めよ」

これも必要条件から攻めるという基本さえできていれば大して難しくはないのですが、実際の試験場ではなかなかの破壊力があったようです(本物の問題文には $m \leqq 2015$ という条件が付いていますが、特に必要無いので削りました)。

問題文の長短については「整数第1章第1節」で既にお話ししていますが、一行問題を量産できる分野は整数分野くらいなものです。もし遭遇したとしても焦らず、落ち着いて取り掛かりましょう。他の受験者も同じ気持ちですから・・・多分。

数学愛好家の身としては一行問題を見るとワクワクしてしまうのですが、この気持ちが分かる方はおりませんかね・・・。


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