微積復習例題1.3.1

復習例題1.3.1

次の値を求めよ。

(1)$\cos \left(  \cos^{-1} \dfrac{\sqrt 3}{2} \right)$

(2)$\cos^{-1} \dfrac{\sqrt 3}{2} +\cos^{-1} \dfrac{1}{2}$

(3)$\sin^{-1} \dfrac{1}{2} +\sin^{-1} \left( -\dfrac{1}{2} \right)$

 

《ポイント》

やることは角度に置き直すことだけです。慣れてくれば暗算でできるようになります。

 


 

《解答例》

(1)

$\cos^{-1} \dfrac{\sqrt 3}{2}=\theta$と置くと、$\theta$は$\cos \theta =\dfrac{\sqrt 3}{2}$を満たす角であるから、$\cos \left(  \cos^{-1} \dfrac{\sqrt 3}{2} \right)$

$$\cos \left(  \cos^{-1} \dfrac{\sqrt 3}{2} \right) = \dfrac{\sqrt 3}{2} \ \ \cdots \cdots (\text{答})$$

を得る。

 

(2)

$\cos^{-1} \dfrac{\sqrt 3}{2}=\theta$と置き、$\cos \theta =\dfrac{\sqrt 3}{2}$を満たす$\theta$を$0 \leqq \theta \leqq \pi$の範囲で求めると、

$$\theta =\dfrac{1}{6}\pi$$

を得る。次に$\cos^{-1} \dfrac{1}{2}=\phi$と置き、$\cos \phi =\dfrac{1}{2}$を満たす$\phi $を$0 \leqq \phi \leqq \pi$の範囲で求めると、

$$\phi =\dfrac{1}{3}\pi$$

を得る。したがって、

$$\cos^{-1} \dfrac{\sqrt 3}{2} +\cos^{-1} \dfrac{1}{2} =\dfrac{1}{6}\pi + \dfrac{1}{3}\pi = \dfrac{\pi}{2} \ \ \cdots \cdots (\text{答})$$

である。

 

(3)

$\sin^{-1} x$が奇関数であることに注意すると、

$$\begin{align} \sin^{-1} \dfrac{1}{2} +\sin^{-1} \left( -\dfrac{1}{2} \right) &=\sin^{-1} \dfrac{1}{2} -\sin^{-1} \dfrac{1}{2} \\ &=0 \ \ \cdots \cdots (\text{答}) \end{align}$$

 


 

《コメント》

(3)では$\sin^{-1} x$が奇関数であることを利用していますが、実際に角度を文字で置いて処理しても構いません。$\sin^{-1} x$が奇関数であることは$\sin x$が奇関数であることから示せます。これを知っていれば$$\sin^{-1} x +\sin^{-1} \left( -x \right)=0$$ や $$\tan^{-1} x +\tan^{-1} \left( -x \right)=0$$ がすぐに分かります。

では$\cos^{-1}$は?と思うのは自然な流れでしょう。$\cos^{-1} x$は$x=\dfrac{\pi}{2}$に関して対称なので、$$\cos^{-1} \left( \dfrac{\pi}{2}+\alpha \right)+\cos^{-1} \left( \dfrac{\pi}{2}-\alpha \right)=0$$となります。つまり$\cos^{-1} A+\cos^{-1} B$について$A+B$が$\pi$となる形なら$0$になります。

もちろん、これらの事実は公式として覚える必要はありません。

(2)についても、ただの直角三角形じゃん!というのが分かれば計算するまでもないのですが・・・。

 


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