高校数学で手が止まる原因は、公式を知らないことだけではありません。式のどこをまとめるか、何を固定するか、どの条件から調べるかが決まらず、計算の入口を見つけられないこともあります。このページでは、問題の特徴と解法を結び付けて整理します。各項目は、着眼点を確認してから例題を解き、最後に条件や検算を確かめる構成です。
数列・漸化式:型別・レベル別の学習
解法を選ぶ理由、条件・例外、解答付き演習をまとめました。各解説には、例題の設計や誤答の分岐を説明する「作問者の視点」を設けています。
基本的な計算から大学入試の応用までを扱います。微分・積分や複素数平面など、未習の分野は飛ばして構いません。公式そのものを覚えるだけでなく、「なぜこの問題ではその公式を選ぶのか」を説明できることを目標にしてください。
1.解法を選ぶための共通手順
01 求めるものと、使える条件を別々に書く
問題文を読んだら、求める対象が「値」「範囲」「個数」「存在」「証明」のどれかを確認します。次に、変数の範囲、整数条件、正負、等号の有無を整理します。例えば「実数解がある」と「区間内に実数解がある」は違います。前者では判別式が役立ちますが、後者では解の位置まで調べる必要があります。
| 問題に現れる特徴 | 最初に試す操作 | 同時に確認する条件 |
|---|---|---|
| $x+y,\ xy$に対称な式 | 和と積を新しい変数にする | 実数なら$(x+y)^2\ge4xy$ |
| $x+1/x$や左右対称な係数 | $t=x+1/x$で次数を下げる | $x\ne0$、実数なら$|t|\ge2$ |
| 根号の差 | 和を掛けて有理化する | 根号内と新しい分母 |
| 整数の積・割り切れ方 | 因数分解、余り、最大公約数 | 0・負数・境界の場合 |
| 複数変数の最大・最小 | 和を固定する、平方和を作る | 等号条件と実現可能性 |
| 確率の「少なくとも」 | 余事象を数える | 各結果が等確率か |
| 漸化式に定数項がある | 不動点を引く | 係数が1の場合を分ける |
| 動く図形の通過領域 | 点を固定し、パラメータの存在条件に直す | 元のパラメータ範囲 |
02 必要条件で候補を絞り、十分性を戻って確かめる
両辺を2乗する、式を掛け合わせる、分母を払うといった操作では、元の条件が失われることがあります。解を得たら、変形前の式に戻して確かめます。
解答と、余分な解が出る理由
左辺が非負なので$x\ge0$です。2乗して$x+2=x^2$、すなわち$(x-2)(x+1)=0$から候補は$2,-1$です。条件$x\ge0$を満たすのは$x=2$だけで、元の式にも適合します。2乗した式だけを見て$x=-1$まで答えるのが典型的な誤りです。
03 小さい例と特殊な場合は「方針探し」に使う
整数なら小さい値、図形なら対称な配置、文字式なら$x=y$や$x=0$を試すと、予想や等号条件が見つかることがあります。ただし、いくつかの例で成立したことは一般の証明にはなりません。実験で見つけた規則を、因数分解・帰納法・不等式などで証明します。
2.数と式――展開の前に構造を探す
04 有理化は「根号を消す場所」を選ぶ
$\sqrt A-\sqrt B$が現れたら、$(\sqrt A-\sqrt B)(\sqrt A+\sqrt B)=A-B$を考えます。分母だけでなく、極限や大小比較では分子を有理化する方が有効です。
この形なら、差が正であること、$x$が大きいほど小さくなることが読み取れます。3項の分母では、平方したときに定数部分が消える組合せを選びます。
共役な式を掛けるときも、その式が0でないことを確認します。有理化は計算を整理する手段であり、分母に根号がある式が数学的に誤りというわけではありません。
既存の詳しい解説は「分数を有理化する理由とコツ」から読めます。
05 対称式は和と積で整理する
$s=x+y,\ p=xy$とおくと、$x^2+y^2=s^2-2p$、$x^3+y^3=s^3-3sp$です。さらに$P_n=x^n+y^n$とおけば、$x,y$が$t^2-st+p=0$の解であることから
が得られます。高い次数でも$x,y$を個別に求める必要はありません。
解答
$P_2=7,\ P_3=18,\ P_4=47,\ P_5=123$です。答えは$123$。$x,y=(3\pm\sqrt5)/2$を5乗する方法に比べ、根号を含む展開を避けられます。
関連する既存記事:置換による式計算①。
06 相反式は$x+1/x$で次数を下げる
解答
$x=0$は解でないので$x^2$で割ります。$t=x+1/x$とおけば$x^2+1/x^2=t^2-2$から$t^2-3t+2=0$です。$t=1,2$のうち、実数$x$では$|t|\ge2$なので$t=2$だけが可能です。$x+1/x=2$より$(x-1)^2=0$、したがって$x=1$です。実際、元の式は$(x-1)^2(x^2-x+1)$と因数分解できます。
07 二重根号は和と積の問題に直す
$\sqrt{a+2\sqrt b}=\sqrt u+\sqrt v$を考えると、$u+v=a,\ uv=b$です。非負実数$u,v$が必要なので、$a\ge0,\ b\ge0,\ a^2\ge4b$を確認します。例えば$\sqrt{5+2\sqrt6}=\sqrt3+\sqrt2$です。
差の場合には$\sqrt{a-2\sqrt b}=|\sqrt u-\sqrt v|$です。例えば$\sqrt{5-2\sqrt6}=\sqrt3-\sqrt2$となります。詳細は二重根号を外す色々な方法を参照してください。
08 分数不等式は符号を見て解く
解答
分子が0になる$1$、分母が0になる$-2$で数直線を区切ります。分子と分母が同符号になるのは$x<-2$または$x\ge1$です。$-2$は定義域に含まれません。$x+2$の符号を確認せずに両辺へ掛けると、不等号の向きが変わる場合を落とします。
3.二次関数・方程式――軸と端点と解の位置
09 区間内の最大・最小は、頂点と端点で調べる
上に凸・下に凸という言い方で迷う場合は、二次の係数の符号とグラフの開く向きで考えます。$x^2$の係数が正なら、区間内に頂点があるときはそこで最小になり、最大値は端点のいずれかです。
解答
$f(x)=(x-a)^2-a^2$で軸は$x=a$です。$a<0$なら最小は$x=0$で$0$、$0\le a\le2$なら$x=a$で$-a^2$、$a>2$なら$x=2$で$4-4a$です。場合分けの境目は、軸が区間の端点を通る$a=0,2$になります。
10 解の存在と、指定された区間への所属を分ける
二次方程式の判別式が非負でも、解が指定区間内にあるとは限りません。「少なくとも1つ」「2つとも」「異なる2つ」を区別し、軸・端点の符号・重解を組み合わせます。
解答
異なる実数解には$D=4(a^2-1)>0$、正の解2つには解の和$2a>0$と積$1>0$が必要です。これらを合わせて$a>1$です。実数解で積が正なら両方同符号であり、和が正なので両方正となるため、十分性も確認できます。
11 文字を含む方程式は「どの文字について解くか」を選ぶ
$x^2-2ax+a=0$を$a$について整理すると$a(1-2x)=-x^2$です。$x\ne1/2$なら$a=x^2/(2x-1)$となり、解の範囲の問題を関数の値域へ変えられます。割った係数が0になる$x=1/2$は、元の式へ代入して別に調べます。
4.不等式・最大最小――等号が実現できるか
12 相加相乗平均は正値と等号条件をセットで使う
等号は$u=v$のときです。$x>0$で$x+4/x$なら、積が$4$で一定なので最小値は$4$、等号は$x=2$で成立します。積が一定にならない式へ機械的に適用しても、求める定数の下限が得られるとは限りません。
13 コーシー・シュワルツの不等式で内積を評価する
例えば$x^2+y^2=1$なら$(3x+4y)^2\le25$で、最大値は$5$、最小値は$-5$です。等号を満たす$(x,y)=(3/5,4/5),(-3/5,-4/5)$が条件に適合することまで確認します。
14 予選決勝法は、固定する量を明示する
解答:和を固定する方法
$s=x+y$とおくと$x^2+y^2\ge s^2/2$です。$s\ge0$では$f\le s/(s^2/2+1)$で、右辺は$s=\sqrt2$のとき$1/\sqrt2$になります。等号には$x=y=s/2=1/\sqrt2$が必要で、実際に達成できます。$f(-x,-y)=-f(x,y)$なので最小値は$-1/\sqrt2$です。分子が負のときは分母の大小から得る不等号の向きが変わるため、先に$s\ge0$へ分けています。
関連する既存記事:予選決勝法の解説。
15 境界へ近づくだけの値は最大値・最小値とは限らない
$0<x<1$における$x$には最大値も最小値もありません。上限は1、下限は0ですが、どちらも範囲に含まれないからです。置換後の変数の範囲、厳密不等号、無限遠での極限を確認し、候補値が実際に達成されるかを調べます。
5.三角関数・指数・対数――置換後の範囲を忘れない
16 $a\sin x+b\cos x$は振幅でまとめる
$R=\sqrt{a^2+b^2}>0$とし、$\cos\phi=a/R,\ \sin\phi=b/R$を満たす$\phi$を選べば、$a\sin x+b\cos x=R\sin(x+\phi)$です。例えば$3\sin x+4\cos x$は、$x$がすべての実数を動けば$[-5,5]$を動きます。ただし$x$の範囲が制限されている場合には、合成後の角の範囲で最大・最小を調べ直します。
17 $\sin x+\cos x$の置換で積も処理する
解答
$g(t)=t+(t^2-1)/2$は二次の係数が正の二次関数です。閉区間$[-\sqrt2,\sqrt2]$での最大値は端点で比較でき、$g(\sqrt2)=\sqrt2+1/2$が最大です。$x=\pi/4+2k\pi$で実現します。
18 指数方程式は同じ底へそろえる
解答
$t=2^x>0$とおくと$t^2-5t+4=0$で$t=1,4$です。どちらも正なので$x=0,2$です。置換後の二次方程式に負の解が出た場合は除きます。
19 対数は真数条件と底の大小を先に確認する
$\log_a x$には$a>0,\ a\ne1,\ x>0$が必要です。$a>1$なら単調増加、$0<a<1$なら単調減少なので、対数を外す際の不等号の向きが異なります。
解答
真数条件は$x>1$です。底が$0$と$1$の間にあるため$x-1\le(1/2)^{-1}=2$となり、答えは$1<x\le3$です。
6.整数――因数・余り・大きさを組み合わせる
20 積の形にして約数を列挙する
解答
$xy=6x+6y$より$(x-6)(y-6)=36$です。元の式から$1/x<1/6$なので$x>6$、同様に$y>6$です。したがって$(x-6,y-6)=(d,36/d)$で、$d$は36の正の約数です。順序を区別しない解は$(7,42),(8,24),(9,18),(10,15),(12,12)$で、順序を区別する場合は非対角の4組を入れ替えたものも加えて9組です。
21 平方数の余りで候補を落とす
整数の平方は4で割ると0または1、8で割ると0、1、4のいずれかです。例えば$x^2+y^2=4k+3$を満たす整数$x,y,k$は存在しません。左辺の4で割った余りは0、1、2のいずれかだからです。
余りによる条件は多くの場合、必要条件です。条件に矛盾しないことと、実際に解が存在することは分けて考えます。
22 連続整数は互いに素であることを使う
$\gcd(n,n+1)=1$です。そのため$n(n+1)$が平方数なら、$n\ge1$では$n$と$n+1$がそれぞれ平方数でなければなりません。しかし正の平方数の差が1になることはないので不可能です。別解として$n^2<n(n+1)<(n+1)^2$からも直ちに分かります。
23 無限降下法は「より小さな同型の解」を作る
例えば$x^2=2y^2$に正の整数解があると仮定し、$y$が最小のものを選びます。$x$は偶数なので$x=2u$とおくと$y^2=2u^2$となり、$y$も偶数です。$y=2v$から$u^2=2v^2$という同型の解が得られ、$0<v<y$に矛盾します。単に「どちらも偶数」と述べて終わらず、最小性との矛盾まで書きます。
7.数列――差・比・不動点で形を整える
24 一次漸化式は不動点を引く
$a_{n+1}=pa_n+q$で$p\ne1$なら、$\alpha=p\alpha+q$を満たす$\alpha=q/(1-p)$を引きます。すると$a_{n+1}-\alpha=p(a_n-\alpha)$で、等比数列になります。
解答
不動点は$-1$です。$a_{n+1}+1=2(a_n+1)$から$a_n+1=4\cdot2^{n-1}$、したがって$a_n=2^{n+1}-1$です。$p=1$のときは$a_{n+1}-a_n=q$となり、等差数列として扱います。
25 $n$を含む漸化式では既知の増え方で割る
解答
$b_n=a_n/2^{n-1}$とおくと$b_{n+1}=b_n+1$です。$b_1=1$なので$b_n=n$、答えは$a_n=n2^{n-1}$です。指数の添字を1つずらして割るところを丁寧に確認します。
26 分数型では逆数や不動点を試す
解答
すべての$a_n$が正であることを帰納的に確認できます。逆数を取ると$1/a_{n+1}=1/a_n+1$なので$1/a_n=n$、したがって$a_n=1/n$です。逆数を取る前に0でないことを確認しています。
27 和を求める前に「差」を作る
項同士が打ち消し合う和を望遠和と呼びます。無限和なら、まず有限和を作り、そのあと$N\to\infty$を取ります。分母が$n(n+2)$などの場合にも、添字をずらした差を作れます。
28 帰納法は「使いたい形」へ仮定を強めることもある
例えば$a_1=1,\ a_{n+1}=\sqrt{2+a_n}$について$a_n<2$を示すだけなら、$a_n<2$から$a_{n+1}<2$が従います。極限も求めたいなら、$a_n\ge1$と単調増加を併せて示します。$1\le a_n<2$では$2+a_n-a_n^2=(2-a_n)(a_n+1)>0$なので$a_{n+1}>a_n$です。上に有界な単調数列は収束し、極限$L$は$L=\sqrt{2+L}$と$L\ge1$から$L=2$です。
極限が存在することを確認せず、漸化式の$a_n$をすべて$L$に置き換えるだけでは、収束の証明にはなりません。
8.場合の数・確率――何を1通りとして数えるか
29 順序の有無と重複の有無を先に決める
異なる$n$個から$r$個を順番付きで選べば$n!/(n-r)!$通り、順番を区別しなければ$\binom nr$通りです。「とりあえず順列で数えて$r!$で割る」は、各対象がちょうど$r!$回ずつ数えられているときにだけ使えます。同じものを含む場合や回転を同一視する場合は、重複回数が一定かを確かめます。
30 重複を避けるには最大値・最後の操作で分類する
解答
最大値が$k=3,4,5$のとき、残り2個を$1,\ldots,k-1$から選ぶので、それぞれ$\binom22,\binom32,\binom42$通りです。合計$1+3+6=10=\binom53$。どの組も最大値をただ1つ持つため、重複も漏れもありません。
31 「少なくとも1回」は余事象を調べる
独立な試行を$n$回行い、各回の成功確率が$p$なら、1回以上成功する確率は$1-(1-p)^n$です。例えば公平なサイコロを4回振って少なくとも1回6が出る確率は$1-(5/6)^4$です。各回が独立でない場合に積をそのまま使うことはできません。
32 条件付き確率では標本空間を限定する
解答
順序付きの36通りは等確率です。和が偶数なのは両方奇数または両方偶数で18通り。そのうち和が8なのは$(2,6),(3,5),(4,4),(5,3),(6,2)$の5通りなので$5/18$です。「和の候補が何種類あるか」で割ることはできません。和の値は等確率ではないからです。
33 期待値は指示変数の和に分ける
ある事象が起きたら1、起きなければ0となる変数を指示変数と呼びます。$X=X_1+\cdots+X_n$なら、独立でなくても$E[X]=\sum E[X_i]$が成立します。
解答
人$i$が自分のカードを受け取る指示変数を$X_i$とすると$E[X_i]=1/n$です。よって$E[X]=n(1/n)=1$です。各人の結果は独立ではありませんが、期待値の加法性には影響しません。全員の取り方が等確率であることを前提にしています。
9.図形・ベクトル――図の条件を式へ翻訳する
34 座標は対称性に合わせて置く
円なら中心を原点に、対称な2点なら$(\pm a,0)$に、直角があればその2辺を座標軸に置くと、余分な文字を減らせます。図がたまたま二等辺や直角に見えても、問題文にない条件は使えません。
35 ベクトルの垂直条件は内積0、平行条件は定数倍
角度より辺の長さが与えられているときは、後者から内積を求めると便利です。$\boldsymbol a,\boldsymbol b$が一次独立なら、係数比較も使えます。平行な2本を基底のように扱って係数比較することはできません。
36 内分点は係数の和を1にする
$AP:PB=m:n$の内分点は$\boldsymbol p=(n\boldsymbol a+m\boldsymbol b)/(m+n)$です。点$A$から点$B$へ進む割合を$t=m/(m+n)$と見れば、$\boldsymbol p=(1-t)\boldsymbol a+t\boldsymbol b$となります。$0\le t\le1$なら線分、$t$がすべての実数なら直線を表します。
37 点と直線の距離は、最短距離の問題に使う
点$(x_0,y_0)$と直線$ax+by+c=0$の距離は$|ax_0+by_0+c|/\sqrt{a^2+b^2}$です。ただし$(a,b)\ne(0,0)$。円と直線の共有点の個数は、この距離と半径を比較すれば判定できます。連立方程式の判別式による方法と同じ条件を、図形的に表したものです。
38 通過領域は「その点を通るパラメータが存在するか」
解答
点$(x,y)$を固定すると、その点を通る直線がある条件は$t^2-xt+y=0$が実数解$t$を持つことです。判別式$x^2-4y\ge0$より、通過領域は$y\le x^2/4$です。境界上では$t=x/2$の1本、内部では異なる2本が通ります。$t$に範囲制限が付けば、判別式だけでは足りません。
39 複素数平面では差がベクトル、商が拡大と回転
複素数$a,b,z$について$z-a$は点$a$から点$z$への変位を表します。$(z-a)/(b-a)$の絶対値は長さの比、偏角は有向角です。ただし$b\ne a$が必要です。
解答
$z=x+iy$とおき、両辺を2乗すると$(x-1)^2+y^2=(x+1)^2+y^2$なので$x=0$です。点$1,-1$から等距離の点、すなわち線分を結ぶ垂直二等分線であり、虚軸です。
10.極限・微分・積分――形と条件から方針を選ぶ
40 極限で0/0になったら、消える因子を探す
$x=1$を代入して$0/0$となることは、極限が存在しないという意味ではありません。$x\ne1$の近傍で共通因子を除きます。根号なら有理化、三角関数なら$\sin t/t\to1$など、形に応じて変形します。
41 はさみうちは変動する部分を有界なものとして扱う
$\sin(1/x)$自体は$x\to0$で極限を持ちませんが、絶対値が1以下であることは使えます。極限を持たない因子が含まれていても、積全体の極限が存在することがあります。
42 微分は、増減表を書いてから結論へ進む
$f'(x)=0$となる点は極値の候補です。極値かどうかは、前後で導関数の符号が変わるかで調べます。$f(x)=x^3$では$f'(0)=0$ですが、0の前後で増加しているため極値ではありません。閉区間の最大・最小では端点も比較します。
43 方程式の実数解の個数はグラフの交点として調べる
解答
$f'(x)=3(x^2-1)$より、$f$は$x=-1$で極大値2、$x=1$で極小値$-2$を取ります。水平線$y=a$との交点は、$|a|<2$で3個、$|a|=2$で2個、$|a|>2$で1個です。$|a|=2$では重解があるため、「重複込みの個数」と「異なる解の個数」を区別します。
44 接線の本数は接点を変数にする
解答
接点を$(t,t^2)$とすると接線は$y=2tx-t^2$です。$(0,-1)$を通るので$t^2=1$、したがって接線は$y=2x-1,\ y=-2x-1$の2本です。通過領域の考え方と同じく、固定点を通るパラメータを探しています。
45 積分は「微分すると何が出るか」から置換を選ぶ
分母や指数の内側の微分が外側に現れていれば置換積分を考えます。積の片方を微分すると簡単になるなら部分積分、分数の次数が高ければ多項式の割り算を先に試します。詳しい選び方は積分のギャラリーにまとめています。
46 面積は上下関係、定積分は符号を確認する
$f(x)\ge g(x)$が区間$[a,b]$で成立するなら、その間の面積は$\int_a^b(f-g)\,dx$です。大小が途中で逆転するなら交点で分けます。$\int_{-1}^{1}x\,dx=0$でも、グラフと$x$軸に囲まれる2つの部分の面積の合計は1です。
11.データの分析・統計――何が変わり、何が変わらないか
47 平均と分散は変換の規則を使う
データ$x_i$を$y_i=ax_i+b$へ変換すると、平均は$\bar y=a\bar x+b$、分散は$s_y^2=a^2s_x^2$、標準偏差は$s_y=|a|s_x$です。ここでは分散を$s_x^2=\frac1n\sum(x_i-\bar x)^2$と定義します。定数を加えても散らばりは変わりません。平均との差では$b$が消えるためです。
解答
平均は105、標準偏差は20、分散は400です。分散に2を掛けるだけにすると誤りで、係数の2乗を掛ける必要があります。
48 相関係数と因果関係を分ける
標準偏差がともに0でないとき、相関係数は共分散を標準偏差の積で割った値です。正の定数倍や平行移動では値が変わらず、一方だけに負の定数を掛けると符号が逆転します。相関係数が0でも非線形の関係がある場合があります。また、相関があるだけでは、どちらかが他方の原因だとは結論できません。
49 仮説検定は、仮定の下での起こりにくさを調べる
帰無仮説は、検定でまず仮定する主張です。例えば「硬貨の表の確率は$1/2$」を仮定し、独立な反復試行で得た表の回数を二項分布と比較します。片側検定か両側検定か、何を極端とみなすか、有意水準はいくつかを、結果の都合に合わせて変更しないようにします。
有意水準5%は「帰無仮説が正しい確率が5%」という意味ではありません。帰無仮説が正しいときに、その検定手順が誤って棄却する確率を5%以下に抑える、という意味です。棄却できない場合も、帰無仮説が正しいと証明されたわけではありません。
12.答案を仕上げる――推論の抜けを点検する
50 結論・条件・達成例をそろえる
最大値を求めたなら「これ以下である」という評価と「その値を取る」という達成例、軌跡なら「条件を満たす点はこの図形上にある」と「この図形上の点は実現できる」の両方向を確認します。式がきれいに変形できたことと、問題に答え切ったことは同じではありません。
| 操作 | 最後の点検 |
|---|---|
| 両辺を2乗した | 符号条件と元の式への代入 |
| 文字式で割った | その式が0の場合を別に検討したか |
| 置換した | 置換後の範囲と元の変数への戻し方 |
| 不等式で評価した | 等号条件がすべて同時に満たせるか |
| 場合分けした | 境界を含め、漏れや重複がないか |
| 無限和・極限を扱った | 収束や交換の条件を満たすか |
| 数値を計算した | 桁・符号・おおよその大きさが妥当か |
13.解法を選ぶ総合演習
次の問題は、計算前に「何を手掛かりに、どの方法を使うか」を1行で書いてから解いてください。いずれもこのページの確認用例題であり、特定の入試からの転載ではありません。
- $x+y=4,\ xy=2$のとき、$x^4+y^4$を求める。
- $x>0$で$x^2+9/x^2$の最小値を求める。
- $a_1=2,\ a_{n+1}=3a_n-2$の一般項を求める。
- $\log_2(x-1)+\log_2(x+1)=3$を解く。
- $x^2+y^2=4$のとき、$x+2y$の最大値を求める。
- 公平な硬貨を5回投げて、表が少なくとも2回出る確率を求める。
- $f(x)=x^3-3x$の$[0,2]$における最大値と最小値を求める。
- 整数$n\ge1$について$\sum_{k=1}^{n}k(k+1)$を求める。
解答と着眼点
- 対称式を使います。$x^2+y^2=12$なので$x^4+y^4=12^2-2\cdot2^2=136$。
- 正値の相加相乗平均から6。等号は$x^2=3$、すなわち$x=\sqrt3$。
- 不動点1を引き、$a_n-1=3^{n-1}$より$a_n=3^{n-1}+1$。
- 真数条件$x>1$。$x^2-1=8$から$x=3$。
- コーシー・シュワルツから$2\sqrt5$。$(x,y)=(2/\sqrt5,4/\sqrt5)$で達成。
- 余事象は表0回または1回。$1-(1+5)/2^5=13/16$。
- $f'(x)=3(x^2-1)$。候補$x=0,1,2$での値は$0,-2,2$なので最大2、最小$-2$。
- $k(k+1)=k^2+k$を使い、$n(n+1)(2n+1)/6+n(n+1)/2=n(n+1)(n+2)/3$。
14.既存の個別解説を読む
有理化・置換・根号・通過領域については、従来の個別ページも利用できます。親ページで方針を確認し、個別ページで計算を追う使い方ができます。
