差を足し戻す方法と、和の条件を差し引く方法を使い分けます。
1.階差を足すと端だけが残る
$a_{n+1}-a_n=f(n)$ を $n=1,\ldots,N-1$ について加えると中間項が消えます。したがって、$$a_N=a_1+\sum_{k=1}^{N-1}f(k).$$ 初項を残し、和の上端を $N-1$ にするのが大切です。$N=1$ では空の和を0とすれば同じ式が使えます。
例題1:多項式の階差
$a_1=2,\ a_{n+1}-a_n=3n^2+3n+1$。右辺は $(n+1)^3-n^3$ なので、$$a_n=2+\sum_{k=1}^{n-1}\{(k+1)^3-k^3\}=n^3+1.$$ 各べきの和の公式を使う前に、差の形に戻せないかを見ると計算が短くなります。
例題2:分数の階差
$a_1=0,\ a_{n+1}-a_n=1/\{n(n+1)\}$。$1/\{n(n+1)\}=1/n-1/(n+1)$ ですから、$a_n=1-1/n$。差の正負から増加し、$a_n<1$、極限は1だと分かります。一般項・単調性・極限が同じ分解から読み取れます。
2.Snの条件ではn=1を別に確かめる
$S_n=a_1+\cdots+a_n$ とすると、$a_n=S_n-S_{n-1}$ がそのまま使えるのは $n\ge2$ です。$S_0=0$ と定義しても、問題中の $S_n$ の式が $n=0$ で成立するとは限りません。
例題3:和が一般項を含む場合
すべての $n\ge1$ で $S_n=2a_n+n$ とします。まず $n=1$ から $a_1=2a_1+1$、よって $a_1=-1$。$n\ge2$ について隣り合う式を引くと、$$a_n=2a_n-2a_{n-1}+1,\qquad a_n=2a_{n-1}-1.$$ よって $a_n-1=2(a_{n-1}-1)$ から $a_n=1-2^n$ です。実際、$S_n=n-2^{n+1}+2=2a_n+n$ なので元の条件も満たします。
3.「差を取る」と情報が1つ消える
和の式を差し引くと、定数分の情報が消えます。そのため漸化式だけを解いて終えると、元の和の条件を満たさない数列まで含めることがあります。初項を元の条件から決定し、最後に代入で確認すれば、この抜けを防げます。二階差が一定なら一般項は二次式ですが、その二次式を決めるには通常2つの初期情報が必要です。
作問者の視点――条件と解法の関係
確認演習と解答
まず方針と必要な条件を言葉にしてから計算してください。解答は開いて確認できます。
演習1 $a_1=3,\ a_{n+1}-a_n=2n$ を解け。
解答・考え方を開く
$a_n=3+2\sum_{k=1}^{n-1}k=n^2-n+3$。
演習2 $S_n=n^2+2n+1$ が $n\ge1$ で成立するとき、$a_n$ を求めよ。
解答・考え方を開く
$a_1=S_1=4$。$n\ge2$ では $a_n=2n+1$。後者を $n=1$ に代入した3は初項と一致しません。
演習3 $S_n=3a_n-2$ を満たす数列を求めよ。
解答・考え方を開く
$a_1=1$。$n\ge2$ で $a_n=3a_n-3a_{n-1}$、したがって $a_n=(3/2)^{n-1}$。有限等比和から元の式も確認できます。
関連する解説
参考資料
定理・基本的な方法の確認に使える公開教材です。本ページの例題・演習・作問上のコメントは、解説用に独自に構成しています。
