固定点からの差を等比数列に変え、係数の例外と長期的な挙動まで説明します。
1.定数を引くのは固定点に原点を移すため
$a_{n+1}=pa_n+q$ に対し、$\alpha=p\alpha+q$ を満たす定数を探します。$p\ne1$ なら $\alpha=q/(1-p)$ で、$$a_{n+1}-\alpha=p(a_n-\alpha).$$ よって $p\ne0,1$ では $$a_n=\alpha+p^{n-1}(a_1-\alpha).$$ これは暗記用の置換ではなく、毎回加わる $q$ を打ち消す操作です。
| 係数 | 処理 |
|---|---|
| $p=1$ | $a_n=a_1+(n-1)q$。等差数列です。 |
| $p=0$ | $a_1$ は指定された値、第2項以降は $q$ です。 |
| $p=-1$ | $a_n=q/2+(-1)^{n-1}(a_1-q/2)$。定数列か2周期です。 |
| $p\ne0,1$ | 固定点との差を等比数列にします。 |
2.例題とパラメータの読み方
例題1:定数を引いて解く
$a_1=3,\ a_{n+1}=2a_n-5$。固定点は5なので $a_{n+1}-5=2(a_n-5)$。したがって $a_n=5-2^n$。初項3、次項1を確認します。$a_n$ 自体は等比数列ではなく、$a_n-5$ が等比数列です。
例題2:初期条件が発散項を消す
$a_1=t,\ a_{n+1}=3a_n+2$。固定点は $-1$ で、$a_n=-1+(t+1)3^{n-1}$。$t=-1$ なら定数列、$t>-1$ なら $+\infty$、$t<-1$ なら $-\infty$ に向かいます。「係数3だから必ず発散」とは言えず、初期条件も必要です。
例題3:交互に近づく収束
$a_1=0,\ a_{n+1}=-a_n/2+3$。固定点は2で、$a_n=2-2(-1/2)^{n-1}$ です。2の上下を交互に行き来するため、全体として単調ではありません。それでも $|a_n-2|=2(1/2)^{n-1}\to0$ から2に収束します。
3.収束を条件分けする
$|p|<1$ ならすべての初項で固定点に収束します。$p=1$ は $q=0$ のときのみ定数列です。$p=-1$ は初項が $q/2$ のときのみ収束し、$|p|>1$ は初項が固定点のときのみ有限値に収束します。一般項から判断することと、収束を仮定して方程式を解くことを区別してください。
作問者の視点――条件と解法の関係
確認演習と解答
まず方針と必要な条件を言葉にしてから計算してください。解答は開いて確認できます。
演習1 $a_1=4,\ a_{n+1}=3a_n-2$。
解答・考え方を開く
固定点1からの差を取ると $a_n=1+3^n$。
演習2 $a_1=2,\ a_{n+1}=-a_n+6$ の一般項と極限は。
解答・考え方を開く
$a_n=3-(-1)^{n-1}$。2,4を交互に取るため極限はありません。
演習3 $a_{n+1}=pa_n+1$、$p=1$ の場合を一般公式の極限に頼らず解け。
解答・考え方を開く
毎回1ずつ増えるので $a_n=a_1+n-1$。$1/(1-p)$ を使う変形はこの場合にはできません。
関連する解説
参考資料
定理・基本的な方法の確認に使える公開教材です。本ページの例題・演習・作問上のコメントは、解説用に独自に構成しています。
