漸化式で定める数列の極限――単調性・固定点・誤差評価

極限候補を求める前に収束を証明し、初期値と誤差の役割を理解します。

レベル:標準〜発展

前提知識:数列の極限・不等式・帰納法

学習の入口:数列・漸化式の型別・レベル別ガイド

1.極限方程式は候補を与えるだけ

$a_{n+1}=f(a_n)$ で、$a_n\to L$ かつ $f$ が $L$ で連続なら $L=f(L)$ です。しかし、先にこの方程式を解いても収束した証明にはなりません。基本の順序は「定義可能な範囲→範囲が保たれること→単調性や収縮→極限候補の選択」です。

2.単調・有界から収束へ

例題1:平方根型

$a_1=1,\ a_{n+1}=\sqrt{2+a_n}$。$1\le a_n<2$ なら $1\le a_{n+1}<2$ なので、この範囲が帰納的に保たれます。また、$$a_{n+1}-a_n=\frac{2+a_n-a_n^2}{\sqrt{2+a_n}+a_n} =\frac{(2-a_n)(a_n+1)}{\sqrt{2+a_n}+a_n}>0.$$ 上に有界な増加数列だから収束します。$L=\sqrt{2+L}$ と $L\ge1$ より $L=2$ です。二乗後の根 $-1$ は元の平方根の式を満たしません。

例題2:初期値で極限候補を除く

$1<a_1<2,\ a_{n+1}=(a_n^2+2)/3$。$1<a_n<2$ が保たれ、$$a_{n+1}-a_n=\frac{(a_n-1)(a_n-2)}3<0.$$ 下に有界な減少数列なので収束します。候補は1と2ですが、全ての項で $a_n\le a_1<2$ ですから $L\le a_1<2$。よって $L=1$。単に「全項が2未満」だけでは極限2を除けない点に注意します。例えば $2-1/n$ は全項が2未満でも極限2です。

3.誤差が縮むことから収束を示す

固定点 $L$ に対し、保たれる範囲で $|f(x)-L|\le q|x-L|,\ 0\le q<1$ が成立すれば、$$|a_n-L|\le q^{n-1}|a_1-L|\to0.$$ この方法は単調でなくても使えます。十分条件であり、収束する全ての数列がこの形で評価できるとは限りません。

例題1では $$2-a_{n+1}=\frac{2-a_n}{2+\sqrt{2+a_n}}\le\frac{2-a_n}{3}$$ なので $0<2-a_n\le3^{-(n-1)}$。誤差を $10^{-3}$ 以下にしたいなら $3^{n-1}\ge1000$ を満たす $n=8$ で十分です。これは必要最小の項数だという意味ではありません。

4.固定点があるのに収束しない例

$a_{n+1}=1-a_n,\ a_1=0$ は0,1を交互に取ります。固定点方程式の解 $L=1/2$ があっても収束しません。単調性が見つからないときは、偶数項と奇数項を分けたり、固定点からの誤差の絶対値を調べたりしてください。

作問者の視点――条件と解法の関係

確認演習と解答

まず方針と必要な条件を言葉にしてから計算してください。解答は開いて確認できます。

演習1 $a_1=0,\ a_{n+1}=a_n/2+1$ の極限と誤差を求めよ。

解答・考え方を開く

$a_n=2-2^{2-n}$。極限2、$|a_n-2|=2(1/2)^{n-1}$。

演習2 $a_1=3,\ a_{n+1}=(a_n^2+2)/3$ は有限値に収束するか。

解答・考え方を開く

$a_n>2$ が保たれ、差が正なので増加します。有限値に収束すれば極限は1または2ですが $L\ge3$ と矛盾。したがって単調増加して $+\infty$ に発散します。

演習3 $a_{n+1}=1-a_n$ が収束する初期値を全て求めよ。

解答・考え方を開く

$a_1=t$ なら $t,1-t$ の繰返し。収束するのは $t=1/2$ のみです。

既存の問題も参照:微積復習例題1.1.2a(単調減少と極限の論証)

参考資料

定理・基本的な方法の確認に使える公開教材です。本ページの例題・演習・作問上のコメントは、解説用に独自に構成しています。