式の特別な構造を使って変数を取り直し、解けない場合も性質を調べます。
1.非線形には1つの万能公式がない
$a_n^2$、$a_na_{n+1}$、平方根などが現れる漸化式では、まず全項が定義できる範囲、符号、保存される量を調べます。一般項を初等関数で書けるとは限りません。極限を求める問題なら、一般項を経由せず単調性や誤差の評価を示せばよいこともあります。
2.積・累乗は対数で加法へ
例題1:正の累乗型
$a_1=3,\ a_{n+1}=3a_n^2$。帰納的に $a_n>0$ なので $b_n=\log_3a_n$ と置けます。$b_{n+1}=2b_n+1,\ b_1=1$ から $b_n=2^n-1$。したがって $$a_n=3^{\,2^n-1}.$$ 指数がさらに指数的に増えています。数列自体を普通の等比数列と見なしてはいけません。
一般に $a_{n+1}=c a_n^p$ を実数の対数で扱うには、少なくとも対象の項が正であることが必要です。初項0や負の項を含む場合は別途検討します。絶対値を取って対数化した場合には、元の符号の情報も復元しなければなりません。
3.加法定理が見える型
例題2:倍角公式に戻す
$a_1=\cos\theta,\ a_{n+1}=2a_n^2-1$。$\cos2t=2\cos^2t-1$ より、$$a_n=\cos(2^{n-1}\theta).$$ これは帰納法でも確かめられます。$-1\le a_1\le1$ の実初項なら $\theta=\arccos a_1$ を選べますが、この範囲外に同じ実数の置換を使うことはできません。
$\theta=\pi/3$ なら $a_1=1/2$、第2項以降は $-1/2$。$\theta=\pi/2$ なら0,-1,1,1,…です。一般項が三角関数で書けたことと、どの初期値でも周期や極限が簡単に決まることは別です。
4.一般項以外の目標を持つ
2つの数列があるなら $a_n^2-kb_n^2$、$a_n+b_n$、$a_nb_n$ などの変化を調べます。次項を代入して同じ式に戻れば不変量です。ただし「数項で同じ値だった」だけで保存則とは言えません。任意の $n$ での恒等式を示します。
例えば $a_{n+1}=\sqrt{2+a_n}$ の極限を求める際、平方根を繰り返して一般項を探すより、$a_n<2$ と単調性を示す方が直接的です。分数型なら固定点との差、累乗型なら対数というように、外見に応じて最初の候補を変えます。
作問者の視点――条件と解法の関係
確認演習と解答
まず方針と必要な条件を言葉にしてから計算してください。解答は開いて確認できます。
演習1 $a_1=2,\ a_{n+1}=a_n^2$。
解答・考え方を開く
全項正。$\log_2a_n$ が初項1、公比2の等比数列なので $a_n=2^{2^{n-1}}$。
演習2 $a_1=1/2,\ a_{n+1}=2a_n^2-1$ の極限を求めよ。
解答・考え方を開く
$a_2=-1/2$、以後 $-1/2$ が固定点。極限は $-1/2$。
演習3 $a_1=1,\ a_na_{n+1}=2^n$ を解け。
解答・考え方を開く
全項正。$b_n=\log_2a_n$ は $b_{n+1}=-b_n+n$。$b_n=(2n-1+(-1)^n)/4$ が初項と式を満たすので、$a_n=2^{(2n-1+(-1)^n)/4}$。
関連する解説
参考資料
定理・基本的な方法の確認に使える公開教材です。本ページの例題・演習・作問上のコメントは、解説用に独自に構成しています。
