逆数で解ける型と2つの固定点を使う型を区別し、定義できる範囲を確認します。
1.まず逆数で一次式になるか調べる
分数型では、変形する前に分母が0にならないことを確認します。さらに逆数を取るなら項自体も0でないことが必要です。
例題1:逆数が等差数列になる
$a_1=2,\ a_{n+1}=a_n/(1+a_n)$。$a_n>0$ なら $a_{n+1}>0$ なので、帰納的に全項が正です。逆数を取ると $1/a_{n+1}=1/a_n+1$。よって $1/a_n=n-1/2$、$$a_n=\frac2{2n-1}.$$ 初項0の場合は0の定数列であり、逆数を取る解法の外側で別に扱います。
2.2つの固定点から等比数列を作る
$f(x)=(Ax+B)/(Cx+D)$、$AD-BC\ne0$ とし、異なる有限固定点 $\alpha,\beta$ を持つ場合を考えます。$C\alpha+D,C\beta+D$ は0でないものとします。固定点の関係から、$$\frac{f(x)-\alpha}{f(x)-\beta} =\frac{A-C\alpha}{A-C\beta}\frac{x-\alpha}{x-\beta}.$$ したがって $b_n=(a_n-\alpha)/(a_n-\beta)$ は、定義できる範囲で等比数列です。$a_1=\beta$ はこの置換で割れないので、固定点の定数列として先に処理します。
例題2:固定点が2つある分数型
$a_1=0,\ a_{n+1}=(3a_n+2)/(a_n+2)$。$0\le a_n<2$ なら $0\le a_{n+1}<2$ であることを、$2-f(x)=(2-x)/(x+2)>0$ から確かめられます。固定点は2と $-1$。$$b_n=\frac{a_n-2}{a_n+1},\qquad b_{n+1}=\frac14b_n,\qquad b_1=-2.$$ $t_n=-2\cdot4^{-(n-1)}$ とすると $$a_n=\frac{2+t_n}{1-t_n}.$$ $t_n\le0$ なので復元の分母も0になりません。$t_n\to0$ から極限は2です。
3.固定点が重なる型
例題3:重複固定点からの差の逆数
$a_1=2,\ a_{n+1}=(2a_n-1)/a_n$。固定点は1の重解です。$a_n>1$ が保たれ、$$a_{n+1}-1=\frac{a_n-1}{a_n},\qquad \frac1{a_{n+1}-1}=\frac1{a_n-1}+1.$$ よって $1/(a_n-1)=n$、$a_n=1+1/n$。2つの異なる固定点を必要とする前節の式を、そのまま重解に流用してはいけません。
4.一般式より先に定義域
$AD-BC=0$ なら、元の分母が0でない範囲で定数になる退化した型です。約分後の式が有限でも、元の分母が0となる項は許されません。一般項を得たら、初項、元の漸化式、各分母の非零条件を戻して点検します。実固定点がない場合に、実数の固定点を無理に仮定することも避けましょう。
作問者の視点――条件と解法の関係
確認演習と解答
まず方針と必要な条件を言葉にしてから計算してください。解答は開いて確認できます。
演習1 $a_1=1,\ a_{n+1}=a_n/(1+2a_n)$。
解答・考え方を開く
全項正。逆数は公差2なので $a_n=1/(2n-1)$。
演習2 $a_1=1,\ a_{n+1}=(2a_n-1)/a_n$。
解答・考え方を開く
固定点1の定数列です。$1/(a_n-1)$ は使えません。
演習3 $a_1=-1,\ a_{n+1}=a_n/(1+a_n)$ は全ての正整数で定義できるか。
解答・考え方を開く
$a_2$ の分母が0なので定義できません。逆数の漸化式を形式的に進めても、元の問題の数列にはなりません。
関連する解説
参考資料
定理・基本的な方法の確認に使える公開教材です。本ページの例題・演習・作問上のコメントは、解説用に独自に構成しています。
