係数がnに依存する漸化式――積・階乗で正規化する

係数の積を見つけ、等比数列に限らない「割る数列」を作ります。

レベル:標準〜発展

前提知識:階差数列・積の記号・階乗

学習の入口:数列・漸化式の型別・レベル別ガイド

1.割る量を漸化式から逆算する

$a_{n+1}=p_n a_n+q_n$ で $p_n\ne0$ とします。$P_1=1,\ P_{n+1}=p_nP_n$ と置くと、$$\frac{a_{n+1}}{P_{n+1}}-\frac{a_n}{P_n}=\frac{q_n}{P_{n+1}}.$$ したがって $$a_n=P_n\left(a_1+\sum_{k=1}^{n-1}\frac{q_k}{P_{k+1}}\right),\qquad P_n=\prod_{k=1}^{n-1}p_k.$$ 定数係数なら $P_n=p^{n-1}$ です。これは1次漸化式の等比因子を、変動する係数へ拡張したものです。

2.典型的な割り方

例題1:隣り合う整数の比

$a_1=2,\ a_{n+1}=\frac{n+1}{n}a_n+n+1$。$P_n=n$ なので、両辺を $n+1$ で割ると $a_{n+1}/(n+1)=a_n/n+1$。$b_n=a_n/n$ は初項2、公差1の等差数列です。よって $a_n=n(n+1)$。

例題2:階乗を使う

$a_1=1,\ a_{n+1}=(n+1)a_n+(n+1)!$。$P_n=n!$ ですから $b_n=a_n/n!$ と置き、$b_{n+1}=b_n+1$ を得ます。$b_1=1$ より $a_n=n\cdot n!$。階乗は「連続する整数を掛けた係数」を吸収するために現れています。

例題3:係数の積が望遠鏡型になる

$a_1=1,\ a_{n+1}=\frac{n}{n+1}a_n+\frac1{n+1}$。両辺を $n+1$ 倍すると $(n+1)a_{n+1}=na_n+1$。$b_n=na_n$ は $b_n=n$ なので $a_n=1$ です。分母に $n+1$ があるからといって、必ず $a_n/n$ を使うわけではありません。隣り合う項の係数がそろうかを確かめます。

3.係数が0になる箇所は区切る

ある $m$ で $p_m=0$ なら $a_{m+1}=q_m$ となり、それ以前の初期値の情報が消えます。$P_{m+1}=0$ で割る方法は使えないので、その箇所で区切り、新しい初項 $a_{m+1}$ から先を解きます。積で割る解法は万能な形式ではなく、割る量が0でない範囲で使う解法です。

また、一般項が有限和で表示できたことと、初等的な短い式で表せたことは別です。求められているのが極限や評価なら、和を無理に閉じた形にせず、比較やはさみうちを使う方が目的に合う場合があります。

作問者の視点――条件と解法の関係

確認演習と解答

まず方針と必要な条件を言葉にしてから計算してください。解答は開いて確認できます。

演習1 $a_1=1,\ a_{n+1}=\frac{n+2}{n+1}a_n+n+2$。

解答・考え方を開く

$b_n=a_n/(n+1)$ とすると $b_{n+1}=b_n+1,b_1=1/2$。$a_n=(n+1)(n-1/2)$。

演習2 $a_1=1,\ a_{n+1}=(n+1)a_n$。

解答・考え方を開く

$a_n=n!$。$a_n/n!$ が一定であることからも分かります。

演習3 $a_1=7,\ a_{n+1}=(n-2)a_n+1$ の $a_4$ を求めよ。

解答・考え方を開く

$a_2=-6,\ a_3=1,\ a_4=2$。$n=2$ で係数が0となり $a_3$ は初項によらず1です。

参考資料

定理・基本的な方法の確認に使える公開教材です。本ページの例題・演習・作問上のコメントは、解説用に独自に構成しています。