数列・漸化式の総合演習――条件変更から解法を選ぶ

解法名が指定されていない問題で、型・例外・検算を自分で選びます。

レベル:標準〜発展

前提知識:各型の漸化式・極限・合同式

学習の入口:数列・漸化式の型別・レベル別ガイド

1.最初の30秒で確認すること

①求めるものは一般項・和・極限・個数のどれか、②次項を決めるのに何項必要か、③係数は定数か $n$ 依存か、④0で割る可能性があるか、⑤初期条件はいくつか、を確認します。数項の計算は予想と検算に使い、一般の証明とは分けます。時間は目安であり、試験中の一律の制限ではありません。

2.総合例題:初期条件で難しさが変わる

問題A:発散項を消す初期値

$a_1=t,\ a_{n+1}=2a_n+n$。$a_n$ が一次式で表せる $t$ を求め、そのときの $a_n/n$ の極限を求めてください。

特解は $-n-1$ なので $a_n=(t+2)2^{n-1}-n-1$。一次式になるには指数項の係数が0、つまり $t=-2$ が必要十分です。そのとき $a_n=-n-1$、$a_n/n\to-1$。他の $t$ では $2^{n-1}/n\to+\infty$ により、比も有限値には収束しません。

問題B:和の条件と初項

$S_n=2a_n+n+c$ が全ての $n\ge1$ で成立するとします。一般項を求め、定数列になる $c$ があるか調べてください。

$n=1$ から $a_1=-1-c$。隣り合う式の差で $a_n=2a_{n-1}-1$。よって $$a_n=1-(c+2)2^{n-1}.$$ $c=-2$ のときだけ定数列1です。元の式は $n=2+n-2$ となり成立します。差を取ると $c$ が消えるため、初項を落とすと肝心のパラメータ依存が失われます。

問題C:余りの周期を状態から証明する

$a_1=1,a_2=2,\ a_{n+2}=a_{n+1}+a_n$ の余りを法3で調べます。最初の状態から $(1,2),(2,0),(0,2),(2,2),(2,1),(1,0),(0,1),(1,1),(1,2)$ と移ります。8段後に初期状態へ戻り、途中8状態は異なります。よって状態列の最小周期は8。余りの数列の周期がもっと小さければ状態列も同じ小周期になるため、余りの数列の最小周期も8です。

3.自分の答案を4つの観点で読む

観点自分への問い
モデル定義した数列・状態は問題の量を表しているか。
変形置換の理由と、0で割らない条件を書いたか。
論証収束や周期を仮定して結論を出していないか。
復元初項・元の条件・必要な場合分けを確認したか。

これは学習用の自己点検表であり、実際の入試の採点基準や配点を再現したものではありません。答えが一致したときも、条件を1つ変えた問題で同じ論理が通るかを確かめると理解が深まります。

作問者の視点――条件と解法の関係

確認演習と解答

まず方針と必要な条件を言葉にしてから計算してください。解答は開いて確認できます。

演習1 $a_1=t,\ a_{n+1}=3a_n-2n$ が一次式となる $t$ と一般項を求めよ。

解答・考え方を開く

特解 $u_n=n+1/2$。$a_n=(t-3/2)3^{n-1}+n+1/2$。$t=3/2$ のときのみ一次式です。

演習2 $a_1=1,\ a_{n+1}=(n+1)a_n/n+2n+2$。

解答・考え方を開く

$b_n=a_n/n$ とすると $b_{n+1}=b_n+2$。$a_n=n(2n-1)$。

演習3 $a_1=1,\ a_{n+1}=a_n/(2+a_n)$ を解き、極限を求めよ。

解答・考え方を開く

全項正。$b_n=1/a_n$ は $b_{n+1}=2b_n+1,b_1=1$ なので $b_n=2^n-1$。$a_n=1/(2^n-1)\to0$。

演習4 $a_1=t,\ a_{n+1}=-a_n+4$ が収束する条件を求めよ。

解答・考え方を開く

$a_n=2+(-1)^{n-1}(t-2)$。有限値に収束するのは $t=2$ のみ。そのとき極限2。

参考資料

定理・基本的な方法の確認に使える公開教材です。本ページの例題・演習・作問上のコメントは、解説用に独自に構成しています。