問題1.4.5
関数$f(x)$、$g(x)$が$x=a$で連続であるならば、関数の定数倍$cf(x)$、および積$f(x)g(x)$も$x=a$で連続であることを$\varepsilon$論法を用いて示せ。
《ポイント》
例題1.4.2に従って証明します。
《解答例》
示すべきは、$|x-a|<\delta$ならば$|cf(x)-cf(a)|<\varepsilon$となるような正の実数$\delta$の存在である。
$f(x)$は点$a$で連続であるから、$|x-a|<\delta$ならば$|f(x)-f(a)|<\dfrac{\varepsilon}{c}$となるような正の実数$\delta$が存在する。
これより$|x-a|<\delta$ならば$|cf(x)-cf(a)|<\varepsilon$となるような正の実数$\delta$が存在するといえる。故に$cf(x)$は点$a$で連続である。
次に積の連続性を示す。仮定より、$|x-a|<\delta$ならば$|f(x)-f(a)|<\varepsilon_1$、$|g(x)-g(a)|<\varepsilon_2$となるような正の実数$\delta$が存在する。積について、
$\begin{align}&\ \ \ \ \ |f(x)g(x)-f(a)g(a)| \\
&=|f(x)g(x)-f(a)g(x)+f(a)g(x)-f(a)g(a)| \\
&=|(f(x)-f(a))g(x)+f(a)(g(x)-g(a))| \\
&\leqq |f(x)-f(a)||g(x)|+|g(x)-g(a)||f(a)| \\
&\leqq \varepsilon_1 |g(x)|+\varepsilon_2 |f(a)| \ \cdots (\ast) \end{align}$
である。ここで$|x-a|<\delta$のとき$|f(x)|<M_1$、$|g(x)|<M_2$となるようなある実数$M_1、M_2$を考えると、$(\ast)\leqq \varepsilon_1 M_2+\varepsilon_2 M_1$となるが、$\varepsilon_1 M_2+\varepsilon_2 M_1< \varepsilon$となるような$\varepsilon_1 、\varepsilon_2$をとることが可能だから$(\ast)<\varepsilon$となる。
これより、$|x-a|<\delta$ならば$|f(x)g(x)-f(a)g(a)|<\varepsilon$となるような正の実数$\delta$が存在するといえる。故に積$f(x)g(x)$は点$a$で連続である。
《コメント》
関数の連続性に関する問題です。$\varepsilon-\delta$論法を出発点として関数の連続性を定義することができます。
因みに$\varepsilon$論法の「$\varepsilon$」はEのことで、”error”(誤差)の頭文字に由来します。
復習例題は設定していません。