問題2.3.6
(1)$f(x)=\tan^{-1} x$と置くとき、$(x^2+1) f'(x)=1$を示せ。
(2)(1)の両辺を$n$回微分することにより、次の式を示せ。
$$(x^2+1)f^{(n+1)}(x)+2nxf^{(n)}(x)+n(n-1)f^{(n-1)}(x)=0$$
(3)$m \in \mathbb{N}$のとき、$$\begin{cases} f^{(2m)} (0)=0 \\ f^{(2m+1)}(0)=(-1)^m \cdot (2m)! \end{cases}$$を示せ。
《ポイント》
(1)は公式が頭に入っていれば問題無いと思います。(2)ではライプニッツの定理を使いながら式を整理します。
《解答例》
(1)
$f(x)=\tan^{-1} x$ と置くと、$f'(x)=\dfrac{1}{1+x^2}$ より、$$(1+x^2 ) f'(x)=1$$である。
(2)
$(1+x^2 ) f'(x)=1$の両辺を微分していくと、
$2x f^{(1)} (x)+(1+x^2 ) f^{(2)} (x)=0$、
$2f^{(1)} (x)+4xf^{(2)} (x)+(1+x^2 ) f^{(3)} (x)=0$、
$6f^{(2)} (x)+6xf^{(3)} (x)+(1+x^2 ) f^{(4)} (x)=0、 \cdots$
となる。$1+x^2$は微分していくと、$2x$、$2$、$0$となるから、3回以上微分すると$0$となる。よってライプニッツの定理より、
$(1+x^2 ) f^{(n+1)} (x)+2x \cdot {}_n \mathrm{C}_1 \cdot f^{(n)} (x)+2\cdot {}_n \mathrm{C}_2 \cdot f^{(n-1)} (x)=0$
$∴ \ (1+x^2 ) f^{(n+1)} (x)+2nxf^{(n)} (x)+n(n-1) f^{(n-1)} (x)=0$
を得る。
(3)
(2)で示した等式に$x=0$を代入すると、$$f^{(n+1)} (0)+n(n-1) f^{(n-1)}(0)=0 \ \ \cdots \cdots (\ast)$$
となる。$(1+x^2 ) f'(x)=1$をさらに微分して$2xf^{(1)} (x)+(1+x^2 ) f^{(2)} (x)=0$となる。この2式より、$f^{(1)} (0)=1$、$f^{(2)} (0)=0$を得る。よって$ (\ast)$より帰納的に$$f^{(2m) } (0)=0$$が言える。また$ (\ast)$より、
$f^{(3)}(0)=-2\cdot 1\cdot f^{(1)} (0)$
$f^{(5)}(0)=-4\cdot 3\cdot f^{(3)} (0)$
$\vdots$
$f^{(2m+1)} (0)=-2m(2m-1) f^{(2m-1)} (0)$
であるから辺々掛け合わせると、$$f^{(2m+1)} (0)=(-1)^m \cdot (2m)!\cdot f^{(1)} (0)=(-1)^m\cdot (2m)!$$
となる。以上より、
$$\begin{cases} f^{(2m)} (0)=0 \\ f^{(2m+1)}(0)=(-1)^m \cdot (2m)! \end{cases}$$
が示された。
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