微積3.3.4

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問題3.3.4

$p,q>0$ のとき、広義積分$$B(p,q)=\displaystyle \int_{0}^{1} x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx$$は収束することを示せ。

 

《ポイント》

題意の広義積分$B(p,q)$はベータ関数と呼ばれていおり、第一種オイラー積分という名前も付いています。因みに第二種オイラー積分はガンマ関数のことを指しています。ベータ関数は積分変数を変換することによって様々な表し方が可能で、三角関数を用いた表現も可能です(問題3.3.5参照)。$p,q$に整数値を当てはめると受験数学で俗に言う「1/6公式」や「1/12公式」などを導くことができます。

本問は問題3.3.2で扱った広義積分の収束判定をベータ関数でやってみよう、という問題です。$p>1$、$q>1$ のとき、$ x^{p-1}(1-x)^{q-1} $は上に凸なので明らかに$B(p,q)$は収束します。$p<1$ または $q<1$ のときが問題となるのですが、$x$が$0$に近いときと$1$に近いときで場合を分けてやると上から抑え込むことができます。

 


 

《解答例》

$k_1$、$k_2$を$1$より大きい定数とする。

$x$が$0$に近い値を取るとき $(1-x)^{q-1}<1<k_1$ より、$x^{p-1}(1-x)^{q-1}<k_1 x^{p-1}$が成立する。

また、$x$が$1$に近い値を取るとき$x^{p-1}<1<k_2$ より、$x^{p-1}(1-x)^{q-1}<k_2 (1-x)^{q-1}$が成立する。

これより、

$\begin{align}& \ \ \ \ \ B(p,q) \\
&=\displaystyle \int_{0}^{1} x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx \\
&=\displaystyle \int_{0}^{c} x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx+\displaystyle \int_{c}^{1} x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx \\
&<\displaystyle \int_{0}^{c} k_1 x^{p-1} dx+\displaystyle \int_{c}^{1} k_2 (1-x)^{q-1}  \\
&=\left[\dfrac{k_1}{p} x^p\right]_{0}^{c}+\left[\dfrac{k_2}{q} (1-x)^q\right]_{c}^{1} \\
&=\dfrac{k_1}{p} c^p – \dfrac{k_2}{q} (1-c)^q \end{align}$

となる。これは有限確定値であるから$B(p,q)$は収束する。よって示された。


 

《コメント》

ベータ関数は大学入試にもしばしば出題されます。

Cf.横浜市立2015理系など

 


 

この問題に復習例題は設定していません。

 


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