微積1.1.2b

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問題1.1.2b

 次の数列{an}は有界で単調増加であることを示し、極限を求めよ。

 (2)a1=1an+1=3an+42an+3

 

《ポイント》

この数列の一般項を求めてはいけません。普通は泥沼に嵌ります・・・。まずは隣接2項間の差を考えます。

それでもなお、どうしても一般項を求めたい人は以下のような方針を取りましょう(でもあまりオススメしません)。

 

分数型の漸化式を扱うとき、例えば、an+1=an3an+2などであれば、両辺の逆数を取る方法が有効ですが、本問のようにan+1=3an+42an+3と、逆数を取っても上手くいかない漸化式の場合は特殊な式変形を行います。
数列{an} の極限値をαとすると、α=3α+42α+3 が成り立ちます。これを解くと、α=±2 を得ますが、実際にはanは正なので、α=2 に限られます。あとは前問と同様に極限値との差 anα を考えていきます。

 


 

《 解答例 ~隣接2項間の差に注目する解法~ 》

an+1=3an+42an+3=3212(12an+3)と変形できるから、an+1<32 である。また、漸化式の形から an+1>0 であるから、0<an+1<32 が言える。0<a1=1<32 より、帰納的にすべての自然数nについて 0<an<32 が成立する。故に数列{an}は有界である。

 

また、    an+1an=3an+42an+33an1+42an1+3=1(2an+3)(2an1+3)(anan1)

となる。a2a1=751=25>0であるから、帰納的にanan1>0 が言える。

故に数列{an}は単調増加である。

 

以上より、数列{an}は有界な単調増加数列であるから収束する。

数列{an}の極限値をαとして α=3α+42α+3 を解くと、α=±2を得るが、an>0よりα>0であるから、極限値は

2  (答)

と求められる。

 


 

《解答例(別解)~逆数を取れるように式変形する解法~》

an+12=3an+42an+32an+12=(32)an(324)2an+3と変形できる。両辺の逆数を取ると、

1an+12=2an+3(32)an(324)

となる。ここで

(右辺)=232an+332an32432=(6+42)an+(9+62)an2=6+42+17+122an2

であるから、bn=1an2と置けば、bn+1=(17+122)bn+(6+42)と表せる。

この隣接2項間漸化式を解いて、bn=(4+32)(17+122)n1+24を得る。

これより、
an=24(4+32)(17+122)n1+2
と求められる(これはn=1でも成立している)。
この一般項の式より、数列{an}は有界な単調増加数列であることが示され、極限値は明らかに2  (答)である。

 


《コメント》

正攻法は当然、本解の方ですが、別解のように逆数パターンで解答できないこともありません。しかし別解の解法の場合は見た目以上に煩雑な計算が待っています。もし試験でこのタイプの問題が出ても、計算ミスなどのリスクをできるだけ避けたいので逆数パターンは最終手段と考えるべきでしょう。

 


 

復習例題1.1.2b

 次の数列{an}は有界で単調増加であることを示し、極限を求めよ。

 (2)a1=1an+1=3an+2an+3

 

>>解答・解説


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