微積4.2.11

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問題4.2.11

$z=f(x,y)$ が全微分可能ならば、$x$、$y$が$\varDelta x$、$\varDelta y$動くとき、$z$の変化$\varDelta z$は$\varDelta x$、$\varDelta y$の1次式 $f_x(x,y)\varDelta x+f_y(x,y)\varDelta y$ で近似される(1次近似という。3変数以上でも同様である)。これを用いて次の問いに答えよ。

(1)2辺の長さがそれぞれ$x$、$y$である長方形の面積を$S$とする。$x$、$y$がそれぞれ$\varDelta x$、$\varDelta y$動くとき、$S$の変化$\varDelta S$の1次近似を求めよ。

(2)3辺の長さがそれぞれ$x$、$y$、$z$である直方体の体積を$V$とする。各辺がそれぞれ$\varDelta x$、$\varDelta y$、$\varDelta z$動くとき、$V$の変化$\varDelta V$の1次近似を求めよ。

(3)長軸、短軸が$2\rm{m}$と$1\rm{m}$である楕円の長軸を$1\rm{cm}$長くし、短軸を$1\rm{cm}$短くしたとき、面積の変化の1次近似を求めよ。

 

《ポイント》

ヒントとなる式は問題文中に書いてあるので、偏微分計算ができれば特に問題ないと思います。(3)は面積公式に用いる値に気を付けましょう。

 


 

《解答例》

(1)

2辺の長さがそれぞれ$x$、$y$であるような長方形の面積$S$は$$S=xy$$と表せる。したがって$\varDelta S$の1次近似は$$\begin{align} \varDelta S &=S_x \varDelta x+S_y \varDelta y \\ &=y \varDelta x+x \varDelta y \ \ \cdots \cdots(\text{答}) \end{align}$$となる。

 

(2)

3辺の長さがそれぞれ$x$、$y$、$z$であるような直方体の体積$V$は$$V=xyz$$と表せる。したがって$\varDelta V$の1次近似は$$\begin{align} \varDelta V &=V_x \varDelta x+V_y \varDelta y+V_z \varDelta z \\ &= yz \varDelta x + zx \varDelta y + xy \varDelta z \ \ \cdots \cdots(\text{答}) \end{align}$$となる。

 

(3)

一般に長軸、短軸の長さがそれぞれ$a[\rm{cm}]$、$b[\rm{cm}]$であるような楕円の面積$S$は$$S=\pi \dfrac{a}{2} \cdot \dfrac{b}{2}=\dfrac{\pi}{4}ab$$と表せる。したがって面積の変化$\varDelta S$の1次近似は$$\begin{align} \varDelta S &=S_a \varDelta a+S_b \varDelta b \\ &=\dfrac{\pi}{4} (b \varDelta a+ a \varDelta b) \end{align}$$と表せる。

長軸、短軸が$2[\rm{m}]$($200[\rm{cm}]$)と$1[\rm{m}]$($100[\rm{cm}]$)である楕円の長軸を$1[\rm{m}]$長くし、短軸を$1[\rm{m}]$短くしたときの面積の変化を考える。$a=200$、$b=100$、$\varDelta a=1$、$\varDelta b=-1$ と置くと面積の変化$\varDelta S$の1次近似は$$\begin{align} \varDelta S &= \dfrac{\pi}{4} (100 \cdot 1 + 200 \cdot (-1)) \\ &=-25\pi\ [\rm{cm}^2] \ \ \cdots \cdots(\text{答}) \end{align}$$と求められる。

※ここでは長さの単位をすべて$[\rm{cm}]$で統一しましたが、$[\rm{m}]$で統一しても構わないでしょう。

※本問では「長軸、短軸の長さ」が与えられているので、面積公式に当てはめるにはその$\dfrac{1}{2}$の値を用いる必要があります。ケアレスミスに注意しましょう。

 


 

復習例題は設定していません。

 


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