微積4.2.2

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問題4.2.2

曲面上の点$\mathrm{P}$における接平面に垂直な直線をその曲面の$\mathrm{P}$における法線という。曲面 $z=f(x,y)$ 上の1点 $\mathrm{P}(a,b,f(a,b))$ における法線は、次の式で与えられることを示せ。$$\dfrac{x-a}{f_x(a,b)}=\dfrac{y-b}{f_y(a,b)}=\dfrac{z-f(a,b)}{-1}$$

 

《ポイント》

高校数学では空間図形の方程式を扱わないことになっているので、空間座標における法線の方程式は初めて見るという人も多いと思います。まず以下の定理を前提とします(教科書にも書いてあります)。

《定理》
関数$f(x,y)$が点$(a,b)$で全微分可能ならば、曲面$S:z=f(x,y)$上の$\mathrm{P}(a,b,f(a,b))$ において、$S$の接平面$\pi$が存在し、$$\pi:z-f(a,b)=f_x(a,b)(x-a)+f_y(a,b)(y-b)$$と表せる。

これとは別に以下の補題を利用します。

《補題》
平面 $ax+by+cz+d=0$ とベクトル $\vec{n}=(a,b,c)$ は垂直である。

この2つの性質から空間の法線の方程式を導きます。なお、問題文中には曲面 $z=f(x,y)$ の微分可能性などについて触れられていませんが、全微分可能であると仮定して解答して良いでしょう。

 


 

《解答例》

定理より、全微分可能な曲面 $z=f(x,y)$ 上の点 $\mathrm{P}(a,b,f(a,b))$ における接平面$\pi$の方程式は$$\pi:z-f(a,b)=f_x(a,b)(x-a)+f_y(a,b)(y-b)$$で与えられる。これを一般形に書き直すと$$f_x(a,b)x+f_y(a,b)y-z+(f(a,b)-af_x(a,b)-bf_y(a,b))=0$$となるから、補題より、接平面$\pi$とベクトル$$\vec{n}=(f_x(a,b),\ f_y(a,b),-1)$$は垂直である。したがって点 $\mathrm{P}(a,b,f(a,b))$ を通り、ベクトル $\vec{n}$ に平行な直線 $l$ の方程式が求める法線の方程式である。$l$ のベクトル方程式はパラメータ$t$を用いて$$\vec{l}=\vec{p}+t\vec{n}$$と書ける。ここで、ベクトル $\vec{p}$ は点$\mathrm{P}$の位置ベクトルを表している。これよりベクトル $\vec{l}$ を成分表示すると$$\vec{l}=\left( \begin{array}{ccc} a+tf_x(a,b)\\ b+tf_y(a,b)\\ f(a,b)-t \end{array} \right)$$となる。故に法線上の点$(x,y,z)$は連立方程式$$\begin{cases}x=a+tf_x(a,b) \\ y=b+tf_y(a,b) \\ z=f(a,b)-t \end{cases}$$を満たす。これらを$t$について解くと方程式$$t=\dfrac{x-a}{f_x(a,b)}=\dfrac{y-b}{f_y(a,b)}=\dfrac{z-f(a,b)}{-1}$$を得るが、これはまさに所望の方程式である。この議論は逆に辿れるので必要十分である。

以上より、曲面 $z=f(x,y)$ 上の1点 $\mathrm{P}(a,b,f(a,b))$ における法線が方程式$$\dfrac{x-a}{f_x(a,b)}=\dfrac{y-b}{f_y(a,b)}=\dfrac{z-f(a,b)}{-1}$$によって与えられることが示された。

 


 

復習例題は設定していません。

 


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