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問題4.3.7
次の関数の極値を求めよ。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
《ポイント》
2変数関数がある点で極値をとるということは、点において1次の導関数、が同時にとなることが必要です。この連立方程式の解から、極値を与える点の候補を絞り込むのがこのタイプの問題の定石です。前問でも触れましたが、2変数関数の極値判定では以下に示す判別式が有効です。
《定理》
は級の関数であり、点において とする。判別式をと定義するとき、
(a) かつ ならば、は点で極小
(b) かつ ならば、は点で極大
(c) ならば、は点で極値をとらない
《解答例》
(1)
、 となるから、関数が極値をもつとしたらの解である点に限る。この連立方程式の解はであるから、これが極値を与える点の候補となる。
、、 となるから、判別式はとなる。これと より、関数は点において極小値をとる。
(2)
、 となるから、関数が極値をもつとしたらの解である点に限る。この連立方程式の解はであるから、これが極値を与える点の候補となる。
点において、、 となるから、判別式はとなる。が負なので関数は極値をとらない。
(3)
、 となるから、関数が極値をもつとしたらの解である点に限る。この連立方程式の解は、であるから、これが極値を与える点の候補となる。
、、 より、点において、、 となるから、判別式はとなり、判別式からは判断できない。そこで とすると (恒等的に)となるので、極値をとらないことが分かる。
また、点において、、 となるから、判別式はとなる。が負なので関数は点において極大値をとる。
※(コメント)
点について調べる際に と置いていますが、これは命題「点で関数が極値をもつ」の反例となるためです。
ここでもう一度「極値」について復習しておきましょう。例として極大値の場合を考えてみます。
「ある点で関数が極大値をもつ」
とは、
「点を中心とする半径の円をとすると、点近傍の点に対し、が十分に小さい任意の正ので成り立つこと」
と定義されます(極小値の場合も不等号の向きが異なるだけでほぼ同様)。これを図形的に考え、かなりザックリ言い換えると次のようになります。ある点で関数が極大値をもつとは、
「点から任意の向きに進むと関数が減少する」
と言うことができるでしょう。これは山の頂上からどの向きに進んでも「下山」できることに似ています。本問(3)の点のケースでは「どの向きに進んでも」の部分が満たされていないため、極値を取らないことが言えたのでした。このことを示すためにある向き(この場合は直線 に沿った方向)について調べた、という訳です。直線 以外でも関数が一定値をとるような「向き」を見つけられればOKなのですが、なかなか難しいのが実際のところです。そういった意味では本問のように となるケースは極値判定が難しいことが多いと言えます。
因みに、本問の関数の場合はがと因数分解できることから、 のときにが恒等的にをとることを見出すことができます(念の為に付しておきますが、本問の関数は「対称式」なので基本対称式の と のみで表現することができます。これをヒントに因数分解を考えるのも賢い技と言えますね)。
(4)
、 となるから、関数が極値をもつとしたらの解である点に限る。この連立方程式の解は、、であるから、これが極値を与える点の候補となる。また、、、 となるので、判別式を用いて各点について調べる。
点において 、、 となるから、判別式はとなる。が負なので関数は極値をとらない。
点において 、、 となるから、判別式はとなる。が正なので関数は点において極小値をとる。
(5)
、 となるから、関数が極値をもつとしたらの解である点に限る。この連立方程式の解は であるから、これが極値を与える点の候補となる。
、、 となるので、判別式はとなる。が正なので関数は点において極小値をとる。
復習例題は設定していません。
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