問題5.1.1
累次積分を計算せよ。
(1)$\displaystyle \int^{2}_{0}dx\int^{2x}_{x^2}xe^y \ dy$
(2)$\displaystyle \int^{1}_{0}dy\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}y\sin xy \ dx$
《ポイント》
$y$を積分変数として積分したものを更に$x$で積分したものや、$x$を積分変数として積分したものを更に$y$で積分したものを累次積分と言います。3変数以上の場合も同様です。教科書内に「単純な領域」の定義・説明がありますが、基本的には累次積分や重積分は単純な領域についてしか問われないので特に問題は無いでしょう。
基本的には積分の順序は自由ですが、積分範囲が関数で定義されているときは先に積分しないと定数値が求められません。また、積分順序が自由に入れ替えられるときはなるべく計算が簡単になるように積分順序を考えましょう。
《解答例》
(1)$\displaystyle \int^{2}_{0}dx\int^{2x}_{x^2}xe^y \ dy$
$\begin{align}&\ \ \ \ \displaystyle \int^{2}_{0}dx\int^{2x}_{x^2}xe^y \ dy \\ &=\displaystyle \int^{2}_{0}\big[xe^y\big]^{2x}_{x^2}\ dx \\ &=\displaystyle \int^{2}_{0}(xe^{2x}-xe^{x^2})\ dx \\ &=\left[\dfrac{1}{2}xe^{2x}-\dfrac{1}{4}e^{2x}-\dfrac{1}{2}e^{x^2}\right]^{2}_{0} \\ &=\dfrac{1}{4}e^4+\dfrac{3}{4} \ \ \cdots \cdots \text{(答)} \end{align}$
※積分計算の途中で$$\displaystyle \int xe^{2x}\ dx=\dfrac{1}{2}xe^{2x}-\dfrac{1}{4}e^{2x}+C$$を用いています。
(2)$\displaystyle \int^{1}_{0}dy\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}y\sin xy \ dx$
$\begin{align}&\ \ \ \ \displaystyle \int^{1}_{0}dy\int^{\frac{\pi}{2}}_{0}y\sin xy \ dx \\ &=\displaystyle \int^{1}_{0}\big[-\cos xy \ \big]^{\frac{\pi}{2}}_{0}\ dx \\ &=\displaystyle \int^{1}_{0}\left(-\cos \dfrac{\pi}{2}y+1\right)\ dx \\ &=\left[-\dfrac{2}{\pi}\sin \dfrac{\pi}{2}y+y\right]^{1}_{0} \\ &=-\dfrac{2}{\pi}+1 \ \ \cdots \cdots \text{(答)}\end{align}$
復習例題は設定していません。