微積2.2.1b

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問題2.2.1b

次の不等式を示せ。

(3)$\dfrac{x}{1+x}<\tan^{-1} x<x \ \ (x>0)$

(4)$x-\sin x<\tan x-x \ \ \left(0<x<\dfrac{\pi}{2}\right)$

 

《ポイント》

不等式の証明には差を取る、比を取る、絶対不等式を利用するなどの方法がありますが、ここでは微分により関数の大小関係を調べます。

 


 

《解答例》

(3)

$\dfrac{x}{1+x}<\tan^{-1} x<x \ \ (x>0)$を示す。

$f(x)=\tan^{-1} x- \dfrac{x}{1+x} \ \ (x\geqq 0)$とすると、

$\begin{align} f'(x) &= \dfrac{1}{1+x^2}+\dfrac{2x^2}{(1+x^2)^2} -\dfrac{1}{1+x^2} \\ &=\dfrac{2x^2}{(1+x^2 )^2} >0 \end{align}$

である。これと$f(0)=0$より、$f(x)>0$である。

故に $\dfrac{x}{1+x }<\tan^{-1} x$ が成り立つ。

また、$g(x)=x-\tan^{-1} x \ \ (x\geqq 0)$とすると、
$g'(x)=1-\dfrac{1}{1+x^2}=\dfrac{x^2}{1+x^2}>0$である。これと$g(0)=0$より、$g(x)>0$である。

故に $\tan^{-1} x<x$が成り立つ。

以上より $\dfrac{x}{1+x^2 } < \tan^{-1} x<x \ \ (x>0)$が示された。

 

(4)

$x-\sin x<\tan x-x \ \ \left(0<x<\dfrac{\pi}{2}\right)$を示す。

$f(x)=\tan x-x-(x-\sin x ) \ \ \left(0<x<\dfrac{\pi}{2}\right)$とすると、

$\begin{align} f'(x) &= \dfrac{1}{\cos^2 x} +\cos x-2 \\ &> \dfrac{1}{\cos x} +\cos x-2 \ \ \ \cdots (\ast ) \\
&>2\sqrt{\dfrac{1}{\cos x} \cdot \cos x } -2=0 \end{align}$

である(最後の変形で相加相乗平均の関係を用いた)。これと$f(0)=0$より、$f(x)>0$である。
以上より$x-\sin x<\tan x-x \ \ \left(0<x<\dfrac{\pi}{2}\right)$が示された。

 

【(4)$(\ast )$以降の別解】

$\begin{align} f'(x) &= \dfrac{1}{\cos^2 x} +\cos x-2 \\ &=\dfrac{1-\cos^2 x}{\cos^2 x} +\cos x-1 \\
&=\dfrac{\sin^2 x}{\cos^2 x} +\cos x-(\sin^2 x+\cos^2 x ) \\
&=\sin^2 x \left( \dfrac{1}{\cos^2 x} -1 \right) +\cos x (1-\cos x )\end{align}$

$\dfrac{1}{\cos^2 x} -1>0$ かつ $1-\cos x>0$より、$f'(x)>0$

(以下同じ)

 


 

復習例題未設定

 


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