微積1.3.5

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問題1.3.5

a>1のとき、次の(1)~(4)を示せ。

(1)
nが自然数のとき、xn=aとなる実数x (>1)がただ一つ存在することを示せ。

(2)
xが正の有理数であり、自然数mnを用いてx=mnと表せるとき、ax=(a1n)mと定義する。この定義は自然数mnの取り方に依らないことを示せ。また、xyが有理数で0<x<yのとき、ax<ayであることを示せ。

(3)
x (0)が実数であるとし、数列{xn}を単調増加な有理数列でlimnxn=xとなるものとするとき、数列{axn}は収束すること、およびその極限値は数列{xn}の取り方に依らないことを示せ。

(4)
このようにして全実数で定義された関数 y=axは連続関数であることを示せ。

 

《ポイント》

aが定数であることに注意しましょう。どの文字が変数でどの文字が定数なのかに気を付けながら証明してください。

 


 

《解答例》

(1)

xのとき、xnであるから、十分大きな実数c (>1)についてcn>aが成り立つ。x>1だからxn<xn+1が帰納的に言えるのでxnは単調に増加する。

xnの単調増加性、および中間値の定理より、区間(1,)においてxna=0となる実数 x=c がただ一つ存在する。

 

(2)

x=mn(正の有理数)のときaxが一意に定まることを示す。

(1)で定義した実数camn=(a1n)m=cmを満たすから、akmkn=(a1kn)km=(c1k)km={(c1k)k}mとなり、ここでc1k=cと置くと(1)の結果より(c)k=cであるから、{(c1k)k}m=(c)km=cm=amnとなる。これはすべての自然数mnについて言える。つまり、すべての正の有理数について言える。よって示された。

また、y=x+δ (δ>0)と置くと、
ay=ax+δ=axaδ>ax1=ax  (a>1)
が成り立つから、ay>axが示された。

 

(3)

axn=bnとすると、xn+1>xnと(2)の結果よりbn+1>bnが成立し、0<axn<axだから数列{bn}は有界である。有界な単調増加数列は収束するからaxnは収束し、極限値はaxである。この議論はxnの定め方に依っていないから、題意は示された。

 

(4)

pを任意の実数とする。定義「ap=1ap」に注意すると、
|axap|=ap|axapapap|=ap|axpapp|=ap|axp1|であるから、limxp|axap|=aplimxp|axp1|=ap|a01|=0
となる。よって関数 y=axは連続関数である。

 


 

《コメント》

何を議論しているのか分かりにくい問題です。aは常に定数ですが、(1)ではxは変数、(2)と(3)では定数になっています。証明問題では自分が今、何を示そうとしているのかを文章化してみるのも良い訓練になります。

0<a<1の場合は大小関係が逆転するだけで、同様の議論が可能です。

 


 

復習例題は設定していません。

 


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