微積1.4.1

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問題1.4.1

次の値を求めよ。数列$\{a_n\}$、$\{b_n\}$が各々$\alpha$、$\beta$に収束するならば、数列$\{a_n+b_n\}$は$\alpha+\beta$に収束することを$\varepsilon$論法で示せ。

 

《ポイント》

本問は珍しく教科書にもちゃんと解答が書いてあります。

$\varepsilon$(イプシロン)論法の根拠は、

「$N$より大きい自然数$n$について、$|a_n-\alpha|<\varepsilon$を満たすようなある正の実数$\varepsilon$が存在する」

を満たすような自然数$N$が存在するとき$a_n$は$\alpha$に収束する、つまり、$\displaystyle \lim_{n \to \infty} a_n=\alpha$と表せる、というものでした。

直感的な理解としては、$n$を非常に大きくすれば、ごく小さな$\varepsilon$によって$|a_n-\alpha|<\varepsilon$を成立させることで$a_n$と$\alpha$の間隔をどんどん狭められる、という程度で良いでしょう。教科書の例題の解答例を見てもよく分からない人は、まず数式を日本語で解読する作業から始めましょう。

$\varepsilon$論法では絶対不等式の一つである「三角不等式」がよく用いられます。三角不等式とは次のようなものです。

「$|A+B|<|A|+|B|$($A、B$は実数)」

三角不等式は絶対値記号との相性が良いので、$\varepsilon$論法に頻繁に登場します。$\varepsilon$論法は数列だけでなく関数にも適用できます。例えば$$\displaystyle \lim_{x \to \alpha} f(x)=f( \alpha )$$が成り立つことを証明するためには、$N$の代わりに$|x-\alpha|<\delta$(デルタ)ならば$|f(x)-f(\alpha)|<\varepsilon$となるような実数$\delta$の存在を示せば良いことになります。$\varepsilon$論法は関数の連続性を厳密に証明するときにも必要となります。

 


 

《解答例》

$\displaystyle \lim_{n \to \infty} a_n=\alpha$であることから、$n>N_1$ならば$|a_n-\alpha|<\varepsilon_1$、が成り立つようなある自然数$N_1$が存在している。また$\displaystyle \lim_{n \to \infty}b_n=\beta$であることから、$n>N_2$ならば$|b_n-\beta|<\varepsilon_2$が成り立つようなある自然数$N_2$が存在している。

ここで$A=a_n-\alpha$、$B=b_n-\beta$として三角不等式を用いると、

$$|(a_n-\alpha)+(b_n-\beta)|<|a_n-\alpha|+|b_n-\beta|$$

$$\therefore |(a_n+b_n )-(\alpha+\beta)|<|a_n-\alpha|+|b_n-\beta|<\varepsilon_1+\varepsilon_2 $$

が成り立つ。ここで$\varepsilon_1+\varepsilon_2=\varepsilon$とおけば、

$n>N$ならば$|(a_n+b_n )-(\alpha+\beta)|<\varepsilon$

が成り立つようなある自然数$N$が存在していることが言える。ただし$N \geqq N_1$かつ$N \geqq N_2$である。

以上より、数列$\{a_n+b_n \}$は$\alpha+\beta$に収束する。

 


 

《コメント》

やっていることは教科書の模範解答と同じですが、別に帳尻を合わせようとして$\dfrac{\varepsilon}{2}$を唐突に登場させる必要は無いということを示すために敢えて$\varepsilon_1$、$\varepsilon_2$と置きました。

文字は何でも良いということですね。

 


 

復習例題は設定していません。

 


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