微積4.2.1

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問題4.2.1

次の関数の原点での連続性、偏微分可能性、全微分可能性を調べよ。$$f(x,y)=\begin{cases}\dfrac{2xy}{x^2+y^2} &((x,\ y) \ne (0,\ 0)) \\ \ \ \ \ \ \ 0 \ \ &((x,\ y)=(0,\ 0))\end{cases}$$

 

《ポイント》

「関数$f(x,y)$が点$(a,b)$において全微分可能である」とは、$$f(x,y)-f(a,b)=m(x-a)+n(y-b)+o\left(\sqrt{(x-a)^2+(y-b)^2}\right)$$を満たすような実数$m$、$n$が存在することを指しますが、普通は次の定理によって関数$f(x,y)$が全微分可能であることを示します。

《定理》
関数$f(x,y)$が点$(a,b)$を含む開領域において、$x$、$y$に関して偏微分可能であり、偏導関数$f_x$、$f_y$が点$(a,b)$において連続であれば、関数$f(x,y)$が点$(a,b)$において全微分可能である。

この定理は関数が全微分可能であることを直接示すことのできる重要な定理です。

 


 

《解答例》

連続性を調べるために極限$\displaystyle \lim_{(x,y) \to (0,0)} \dfrac{2xy}{x^2+y^2}$が存在するかどうかを調べる。$x=0$ とすると$$\displaystyle \lim_{(x,y) \to (0,0)} \dfrac{2xy}{x^2+y^2}=\displaystyle \lim_{y \to 0} \dfrac{0}{0^2+y^2}=0$$となるが、$x=y$ とすると$$\displaystyle \lim_{(x,y) \to (0,0)} \dfrac{2x^2}{x^2+x^2}=1$$となり一致しない。よって関数$f(x,y)$は原点において連続でない。

次に偏微分可能性を調べる。$$\displaystyle \lim_{h \to 0}(f(h,0)-f(0,0))=\dfrac{0}{0^2+y^2}-0=0$$であるから、原点における$x$の偏導関数$f_x(0,0)$は$$f_x(0,0)=\displaystyle \lim_{h \to 0} \dfrac{f(h,0)-f(0,0)}{h}=0$$となる。同様にして原点における$y$の偏導関数$f_y(0,0)$も$$f_y(0,0)=\displaystyle \lim_{h \to 0} \dfrac{f(0,h)-f(0,0)}{h}=0$$となる。よって関数$f(x,y)$は$x$、$y$について原点で偏微分可能である。

最後に全微分可能性であるが、関数$f(x,y)$は$x$、$y$について原点で偏微分可能であるが原点において連続でないので全微分可能でない。

(答)不連続 / 偏微分可能 / 全微分不可能

 


 

復習例題は設定していません。

 


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