問題2.3.1b
次の関数の$n$次($n \geqq 1$)の導関数を求めよ。
(4)$y=x^2 e^{2x}$
(5)$y=3^x (x^2+x)$
(6)$y=x^2 \cos 2x$
《ポイント》
ライプニッツの定理とは次のようなものでした。
《ライプニッツの定理》
$f(x)$、$g(x)$が開区間$I$で$n$回微分可能ならば、その積$f(x)g(x)$も開区間$I$で$n$回微分可能であり、$$\dfrac{d^n}{dx^n} {f(x)g(x)}=\displaystyle \sum_{k=0}^n {}_{n} \mathrm{C}_k \cdot f^{(n-k)}(x) \cdot g^{(k)}(x)$$
が成立する。
ライプニッツの定理は高次の導関数を機械的に求める際に重宝します。積の形になっていれば利用した方が良いです。
《解答例》
(4)
$x^2$ は微分していくと、$2x$、$2$、$0$ となるからライプニッツの定理を
適用する。
$f(x)=x^2$、$g(x)=e^{2x}$ とおくと、$f^{(0)} (x)=x^2$、$f^{(1)} (x)=2x$、$f^{(2)} (x)=2$ となり、3回以上微分すると0になる。
$g^{(n)} (x)=2^n e^{2x}$、$g^{(n-1)} (x)=2^{n-1} e^{2x}$、$g^{(n-2)} (x)=2^{n-2} e^{2x}$であるから、$x^2 e^{2x}$ の$n$次導関数はライプニッツの定理より
$\begin{align}& \ \ \ \ \ \dfrac{d^n}{dx^n} (x^2 e^{2x} ) \\
&=\displaystyle \sum_{k=0}^n {}_{n} \mathrm{C}_k \cdot f^{(n-k)}(x)\cdot g^{(k)} (x) \\
&={}_{n} \mathrm{C}_{n} \cdot f^{(0)} (x)\cdot g^{n} (x)+{}_{n} \mathrm{C}_{n-1} \cdot f^{(1)} (x)\cdot g^{(n-1)} (x) \\ & \ \ \ \ \ +{}_{n} \mathrm{C}_{n-2} \cdot f^{(2)} (x)\cdot g^{(n-2)} (x)+0 \\
&=1\cdot x^2\cdot 2^n e^{2x}+n\cdot 2x\cdot 2^{n-1} e^{2x}+\dfrac{n(n-1)}{2}\cdot 2\cdot 2^{n-2} e^{2x} \\
&=2^{n-2} e^{2x} \{ 4x^2+4nx+n(n-1)\} \ \ \cdots \cdots \text{(答)} \end{align}$
となる。
(5)
$x^2+x$ は微分していくと、$2x+1$、$2$、$0$となるからライプニッツの定理を適用する。
$f(x)=x^2+x$、$g(x)=3^x$とおくと、$f^{(0)} (x)=x^2+x$、$f^{(1)} (x)=2x+1、f^{(2)} (x)=2$ となり、3回以上微分すると$0$になる。
$g^{(n)} (x)=3^x (\log3 )^n$、$g^{(n-1)} (x)=3^x (\log3 )^{n-1}$、$g^{(n-2)} (x)=3^x (\log3 )^{n-2}$であるから、$3^x (x^2+x)$ の$n$次導関数はライプニッツの定理より
$\begin{align} & \ \ \ \ \ \dfrac{d^n}{dx^n} \{ 3^x (x^2+x) \} \\
&=\displaystyle \sum_{k=0}^n {}_{n} \mathrm{C}_k \cdot f^{(n-k)}(x) \cdot g^{(k)}(x) \\
&={}_{n} \mathrm{C}_{n} \cdot f^{(0)} (x)\cdot g^{n} (x)+{}_{n} \mathrm{C}_{n-1} \cdot f^{(1)} (x)\cdot g^{(n-1)} (x) \\
& \ \ \ \ \ +{}_{n} \mathrm{C}_{n-2} \cdot f^{(2)} (x)\cdot g^{(n-2)} (x)+0 \\
&=1\cdot (x^2+x)\cdot 3^x (\log3 )^n+n\cdot (2x+1)\cdot 3^x (\log3 )^{n-1} \\
& \ \ \ \ \ +\dfrac{n(n-1)}{2} \cdot 2\cdot 3^x (\log3 )^{n-2} \\
&=3^x (\log3 )^{n-2} \left\{ (\log3 )^2 x^2+(\log3 )(2n+\log3 )x+n(n-1+\log3 ) \right\} \\ & \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \ \cdots \cdots \text{(答)} \end{align}$
となる。
(6)
$x^2$ は微分していくと、$2x$、$2$、$0$となるからライプニッツの定理を
適用する。
$f(x)=x^2$、$g(x)=\cos 2x$とおくと、$f^{(0)} (x)=x^2$、$f^{(1)} (x)=2x$、$f^{(2)} (x)=2$ となり、3回以上微分すると$0$になる。
$g^{(n)} (x)=2^n \cos \left( 2x+\dfrac{n\pi}{2} \right)$、$g^{(n-1)} (x)=2^{n-1} \cos \left( 2x+ \dfrac{(n-1) \pi}{2} \right)$、$g^{(n-2)} (x)=2^{n-2} \cos \left( 2x+ \dfrac{(n-2) \pi}{2} \right) $ であるから、$x^2 \cos 2x$の$n$次導関数はライプニッツの定理より
$\begin{align} & \ \ \ \ \ \dfrac{d^n}{dx^n} (x^2 \cos 2x ) \\
&=\displaystyle \sum_{k=0}^n {}_{n} \mathrm{C}_k \cdot f^{(n-k)}(x) \cdot g^{(k)}(x) \\
&={}_{n} \mathrm{C}_{n} \cdot f^{(0)} (x)\cdot g^{n} (x)+{}_{n} \mathrm{C}_{n-1} \cdot f^{(1)} (x)\cdot g^{(n-1)} (x) \\
& \ \ \ \ \ +{}_{n} \mathrm{C}_{n-2} \cdot f^{(2)} (x)\cdot g^{(n-2)} (x)+0 \end{align}$
$\begin{align} &=1\cdot x^2\cdot 2^n \cos \left( 2x+\dfrac{n\pi}{2} \right) +n\cdot 2x\cdot 2^{n-1} \cos \left( 2x+\dfrac{(n-1)\pi}{2} \right) \\
& \ \ \ \ \ +\dfrac{n(n-1)}{2} \cdot 2\cdot 2^{n-2} \cos \left( 2x+\dfrac{(n-2)\pi}{2} \right) \end{align}$
$\begin{align} &=2^n x^2 \cos \left( 2x+\dfrac{n\pi}{2} \right)+2^n nx \cos \left(2x+\dfrac{(n-1)\pi}{2}\right) \\
& \ \ \ \ \ +2^{n-2} n(n-1) \cos \left( 2x+\dfrac{(n-2)\pi}{2} \right) \ \ \cdots \cdots \text{(答)} \end{align}$
となる。
(※注)三角関数は微分すると位相が $\dfrac{\pi}{2}$ だけ進みます。
復習例題2.3.1
ライプニッツの定理を証明せよ。
(帰納法で示せばOKです)