微積2.4.6

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問題2.4.6

次の値の近似値を、与えられた関数の有限マクローリン展開の、x5の項まで計算して求めよ。また誤差も簡単に評価せよ。

(1)e12 (exx=12)

(2)log2 (log1+x1xx=13)

(3)sin0.1 (sinxx=0.1)

 

《ポイント》

マクローリン展開は関数を多項式で近似する操作ですから、ある点における値も近似できます。本問は近似値を求める際にマクローリン展開が有用であることを確認する問題です。他の色々な値についても、計算機などで誤差を評価してみると良い勉強になるでしょう。

マクローリン展開の定義・概念については2.4.2や「『テイラー展開』の分かりやすい解説」のページを参照してください。

 


 

《解答例》

(1)

f(x)=ex として5次の項まで有限マクローリン展開すると、

f(x)=k=05f(k)(0)k!xk+f(6)(θx)6!x6=k=051k!xk+eθx720x6

これに x=12 を代入して、
e12k=0512kk!+eθ272026=1+12+18+148+1384+13840+eθ272026=63313840+eθ272026=1.648697916˙+eθ272026 (答)

0<θ<1eθ2<2 (e<3)より、誤差 eθ272026

eθ272026<272026=172025=0.0000434027˙<0.00005<0.0001

 

 

(2)

f(x)=log1+x1x=log(1+x)log(1x)として5次の項まで有限マクローリン展開すると、

f(n)(x)=(1)n1(n1)!(1+x)n+(n1)!(1x)n

     f(x)=k=05f(k)(0)k!xk+f(6)(θx)6!x6=k=15(1)k1+1kxk     +(1)5(61)!(1+θx)6+(61)!(1θx)66!x6=k=15(1)k1+1kxk+(1+θx)6+(1θx)66x6

これに x=13 を代入して、

=k=15(1)k1+1k3k+(1+13θ)6+(113θ)6636=2131+2333+2535     +(1+13θ)6+(113θ)6636=8421215+(1+13θ)6+(113θ)6636=0.69300411     +(1+13θ)6+(113θ)6636 (答)

0<θ<1より誤差 (1+13θ)6+(113θ)6636

(1+13θ)6+(113θ)6636<2636=137=0.00045724<0.0005

※因みに、f(x)=log(x+1)として5次の項まで有限マクローリン展開すると、

     f(x)=k=05f(k)(0)k!xk+f(6)(θx)6!x6=k=15(1)kkxk+16(θx+1)6x6

これにx=1を代入して、

     log2k=15(1)kk+16(θ+1)6=112+1314+15+16(θ+1)6=4760+16(θ+1)6 (答)

0<θ<1より誤差 16(θ+1)6 は、 16(θ+1)6<16=0.16˙となり、かなり粗い近似しかできない。

 

 

(3)

f(x)=sinx として5次の項まで有限マクローリン展開すると、

     f(x)=k=05f(k)(0)k!xk+f(6)(θx)6!x6=x13!x3+15!x5+sinθx6!x6

これに 110 を代入すると、

     sin0.111013!(110)3+15!(110)5+sinθ106!(110)6=119800112000000+sinθ106!(110)6=0.099833416˙+sinθ106!(110)6 (答)

0<θ<1より誤差 sinθ106!(110)6 は、

|sinθ106!(110)6|<16!106=1720000000<1100000000=108

 


 

各種三角関数のマクローリン展開についてはこちらのページにまとめています。

 


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