問題#B007

問題#B007 ★★☆☆

いずれも互いに素な整数 $a$、$b$、$c$ は等式 $$a^2+b^2=c^2$$ を満たしている。

(1)$a$と$b$のいずれか一方は奇数であることを示せ。

(2)$a$が奇数ならば$b$は$4$の倍数であることを示せ。

(3)$c$は$3$の倍数でないことを示せ。


《ポイント》

本問は平方剰余を利用する典型題です。この形の等式を満たす正の整数を特にピタゴラス数と呼びます。適宜$3$や$4$を法として考えましょう。「互いに素」という条件を使わなければ(1)は解けないので注意。


《解答例》

(1)

$a$と$b$は互いに素であるからともに偶数となることはない。そこで$a$と$b$がともに奇数であると仮定すると、右辺を$4$で割ったときの余りは$2$となる。しかし右辺$c^2$は平方数であるから$4$で割ったときの余りが$2$となることはない。故に$a$と$b$のいずれか一方は奇数である。

(2)

(1)より、$a$が奇数のとき$b$は偶数である。よって左辺は奇数となるから$c$は奇数でなければならない。そこで$a=2p-1$、$b=2q$、$c=2r-1$($p、q、r \ \in \mathbb{Z}$)と置くと与等式は$$(2p-1)^2+(2q)^2=(2r-1)^2$$ $$\therefore 4(p^2-p)+1+4q^2=4(r^2-r)+1$$ $$\therefore p(p-1)+q^2=r(r-1)$$となる。ここで、$p(p-1)$および$r(r-1)$は隣接2整数の積であるから偶数である。故に$q$は偶数でなければならないから、$b$は$4$の倍数である。

(3)

$a$と$b$がともに$3$の倍数でないとすると、右辺を$3$で割ったときの余りは$2$となる。しかし右辺$c^2$は平方数であるから$3$で割ったときの余りが$2$となることはない。故に$a$と$b$のいずれか一方は$3$の倍数でなければならない。$c$は整数$a$、$b$のいずれとも互いに素であるから、$c$が$3$の倍数になることはない。

《(3)別解 》

対偶を示す。即ち、$c$が$3$の倍数であるならば、$a$、$b$、$c$はいずれも互いに素でないことを示す。

$c$が$3$の倍数のとき、左辺を$3$で割ったときの余りは$0$でなければならない。$a^2$、$b^2$を$3$で割ったときの余りは$0$か$1$に限られるから、$a^2$、$b^2$を$3$で割ったときの余りはいずれも$0$であることが必要である。故に$a$、$b$、$c$はいずれも$3$を素因数に持ち互いに素でない。よって対偶が示されたから元の命題も示された。


《コメント》

(3)は直接証明しても対偶を証明して間接的に証明しても良いでしょう(対偶証明法を全く思いつかなかった人は念のため復習しておいてください)。

ピタゴラス数についてはこの他にも様々な面白い性質があります。因みに等式 $a^2+b^2=c^2$ を満たす整数 $a$、$b$、$c$ の積 $abc$ は$60$の倍数になることが知られています。


戻る