階差数列の定義・扱い方

数列に関する備忘録

階差数列の定義・扱い方

 


階差数列」とは、「隣接する項が差となる数列」を意味しています。ある数列$a_n$の隣り合う項の差を取ることで現れる数列$b_n$を階差数列と言います。$\require{cancel}$

式で表現すると、$$b_{n}=a_{n+1}-a_{n}$$となります。

例えば、

$1$、$2$、$4$、$7$、$11$、$\cdots$

という数列は「初項が$1$で、階差数列が$n$の数列」です。階差数列は項番号を間違いやすいので、もし出題されたらケアレスミスに注意しましょう。


「初項が$a_1$で、階差数列が$b_n$の数列$a_n$」の一般項は以下のように導出することができます。$$\small \begin{align}
\cancel{a_{2}}-a_{1}\ &=b_{1} \\
\cancel{a_{3}}-\cancel{a_{2}}&=b_{2} \\
\cancel{a_{4}}-\cancel{a_{3}}&=b_{3} \\
& \vdots \\
\cancel{a_{n-1}}-\cancel{a_{n-2}}\ &=b_{n-2} \\
+)\quad a_{n}-\cancel{a_{n-1}}\ &=b_{n-1} \\
\hline a_{n}-a_{1}&=b_{1}+b_{2}+\cdots+b_{n-1}
\end{align}$$ $$\therefore a_{n}=a_{1}+\sum^{n-1}_{k=1}b_{k}$$

このような和の取り方を「畳み込み」と言います。また、このようなタイプの計算や和のことを「和の中抜け」もしくは「望遠鏡和」などと呼びます。英語圏では “telescoping summation” という名前がちゃんと付いています。

この操作がちゃんと頭に入っていれば階差数列の苦手意識も薄れるのではないでしょうか。


(練習問題)

$a_1 = 1$、$a_{n+1} = a_n + 2^n-2n \ (n = 1, \ 2, \ 3, \cdots )$ で定義される数列の一般項 $a_n$ を求めよ。


 

(解答例)

与漸化式より、$$a_{n+1}-a_n = 2^n-2n$$となるので、数列 $ a_n $ の階差数列の第$n$項が $ 2^n – 2n $ であるから $ n \geqq 2 $ のとき、$$ \begin{align} a_n & = a_1 + \displaystyle \sum_{k=1}^{n-1} (2^k-2k) \\
& = 1 + \sum_{k=1}^{n-1} 2^k-2 \sum_{k=1}^{n-1} k \\
& = 1 + \frac{2 (2^{n -1}-1)}{2-1}-2 \cdot \frac{1}{2} n (n-1) \\
& = 1 + (2^n-2) -n^2 + n \\
& = 2^n-n^2 + n-1 \end{align}$$

初項は $ a_1 = 1 $ なので、これは $ n = 1 $ のときにも成り立ちます。

したがって$$\color{red}{ a_n = 2^n-n^2 + n-1 }$$が求める一般項です。

 


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