とあるエッセイから(3)

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英文和訳練習(目標15分以内)

次の英文の内容を日本語に訳せ。

       The reasons behind gold’s enduring value are complex. While its practical properties—durability, malleability, and rarity—make it useful for everything from jewelry to advanced electronics, gold’s true power lies in our collective belief in its worth. From ancient pharaohs to modern investment funds, from central banks to those trying to find something of value in societies racked today by hyperinflation, gold continues to bridge worlds and epochs in a way no other asset can match.
       While its price will likely continue to fluctuate with market conditions and human sentiment, gold’s fundamental appeal appears unlikely to fade. After all, in a world where value increasingly exists as pixels on screens, there’s something deeply reassuring to many about an asset that has held humanity’s trust for millennia.

» (解答例)

【解答例1】

金が長きにわたって価値を保ち続けてきた理由は複雑である。耐久性、展性、希少性といった実用的な性質によって、宝飾品から先端電子機器に至るまで幅広く利用されている一方で、金の真の力は、その価値を信じる人類の集団的な信念にある。古代のファラオから現代の投資ファンドまで、中央銀行から、今日ハイパーインフレーションに見舞われた社会の中で何らかの価値あるものを見いだそうとする人々に至るまで、金は他のいかなる資産にもできない形で、世界と時代をつなぎ続けてきた。

市場環境や人々の心理によって価格は今後も変動し続ける可能性が高いが、金の根本的な魅力が薄れるとは考えにくい。というのも、価値がますます画面上のピクセルとして存在する世界において、何千年にもわたって人類の信頼を保ち続けてきた資産があるという事実は、多くの人にとって深い安心感を与えるからである。

【解答例2】

金の永続的な価値の背後にある理由は複雑である。その実用的な特性―耐久性、展性、希少性―は、宝飾品から先端電子機器に至るまであらゆるものに有用であるが、金の真の力は、その価値に対する我々の集団的な信念にある。古代のファラオから現代の投資ファンドまで、中央銀行から今日ハイパーインフレに見舞われた社会で価値あるものを見つけようとする人々まで、金は他のどの資産も及ばない方法で、世界と時代を結び続けている。

金の価格は市場の状況や人間の感情によって変動し続ける可能性が高いが、金の根本的な魅力が薄れることはなさそうである。結局のところ、価値というものが画面上のピクセルデータに過ぎなくなりつつある世界において、何千年もの間人類の信頼を保持してきた資産があるということは、多くの人にとって深く安心できることなのである。

【コメント】

この英文を和訳する際には、まず文章全体の主張の流れを把握することが重要です。冒頭の文は、「金の価値が長く続いてきた理由は単純ではない」という総論を示しており、以後の説明の前提となっています。

本文では While A, B という構文が二度用いられており、いずれも前半の内容を認めたうえで、後半で筆者の主張を強める働きをしています。前半では金の耐久性・展性・希少性といった実用的側面が述べられていますが、より重要なのは後半の「人類がその価値を信じ続けてきたという集団的な意識」である点です。この点が訳文でも明確になるようにしましょう。From A to B の繰り返しは、金が
・古代から現代まで(=時代によらない)
・国家レベルから個人まで(=身分や社会集団の規模によらない)
というように、人類社会において非常に幅広い範囲で価値を持ち続けてきたことを示しています。

後段では、「価格は変動するが、それでも金の魅力は失われない」という対比が示されています。appears unlikely to fade のような断定を避けた表現については、日本語でも「考えにくい」など、含みを残した訳し方が好ましいでしょう。

最後の文では、現代社会における「画面上の数字としての価値」と、長い歴史に支えられてきた金の価値とが対比されており、ここが文章全体のまとめとなっています。”in a world where value increasingly exists as pixels on screens” は詩的な表現なので訳出の難しいところですが、「価値がますます画面上のピクセルとして存在する世界」や「価値というものが画面上のピクセルデータに過ぎなくなりつつある世界」などと訳せればよいでしょう。

全体として、この文章では構文の難しさ以上に、譲歩・対比・比喩を正確に読み取り、筆者の評価の軸を外さないことが、和訳の完成度を高めるポイントになります。

出典:Why Has Gold Always Been Valuable? より抜粋

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