n人の誕生日が誰とも重ならない確率は、1人目から順に「既に使われた日を避ける」確率を掛けると求まります。1年365日で各日が等確率、各人が独立という標準モデルでは、23人全員の誕生日が異なる確率は約49.27%。逆に、少なくとも1組が一致する確率は約50.73%です。
何を同じとみなすかを先に決める
ここで比較するのは生まれた年を除く月日です。2月29日は含めず、1月1日から12月31日までの365日が等確率に現れると仮定します。また、双子や家族の選び方などによる依存も考えません。現実の出生には季節差などがあるので、この計算は実測値そのものではなく、条件を簡単にした数学モデルです。
「全員が異なる」の反対は、「少なくとも誰か2人が一致する」です。全員が同じ日である必要はありません。3人同じ日がいる場合や、別々の日に2組の一致がある場合も、後者に含まれます。
一人増えるたび、空いている日が減る
1人目はどの日でも構いません。2人目が1人目を避ける確率は364/365です。ここまで重ならなかったという条件の下では、3人目は既に使われた2日を避けるので363/365、4人目は362/365となります。
したがって、$0\le n\le365$について、$$P(\text{全員異なる})=\prod_{k=0}^{n-1}\frac{365-k}{365}=\frac{365!}{(365-n)!\,365^n}$$です。n=0の空の積は1と約束します。nが366以上なら、鳩の巣原理により少なくとも2人が同じ日になり、全員異なる確率は0です。
求めるのが「少なくとも1組の一致」のときは、$$P(\text{少なくとも1組一致})=1-P(\text{全員異なる})$$と引けば済みます。一致する組の作り方を直接数えるより、二重計上を避けやすい方法です。
| 人数 | 全員異なる | 少なくとも1組一致 |
|---|---|---|
| 10 | 88.305% | 11.695% |
| 20 | 58.856% | 41.144% |
| 22 | 52.430% | 47.570% |
| 23 | 49.270% | 50.730% |
| 30 | 29.368% | 70.632% |
| 40 | 10.877% | 89.123% |
| 50 | 2.963% | 97.037% |
「自分と一致する人」とは違う問題
23人の中には、比較できる2人組が23×22÷2=253組あります。一方、あなた以外の22人があなたの誕生日と一致するかだけを調べるなら、比較は22通りです。これが、23人で約半分という答えが直感より大きく感じられる理由の一つです。
あなたの誕生日を固定し、他の22人を独立・一様に選ぶ場合、誰もあなたと一致しない確率は$(364/365)^{22}$です。この式では、他の22人同士の重複は許しています。全員が異なる確率とは、条件が違うので同じ式にはなりません。
なお、253組のそれぞれの一致確率を足して253/365とする値は、一致した「組数の期待値」です。「どこかに一致がある確率」ではありません。1つの集団で複数組が一致すると、それぞれを数えるためです。
人数の目安を素早く出す近似
人数が365に比べてあまり大きくないとき、$\log(1-x)\approx-x$を使うと、$$P(\text{全員異なる})\approx\exp\left(-\frac{n(n-1)}{2\times365}\right)$$となります。これを1/2と置けば、$n(n-1)\approx730\log2$です。およそ23人という目安を得られますが、境目を確定するには上の積を計算します。
表は近似式ではなく、積を直接計算した値です。誕生日の偏りを組み込みたい場合には、各日dの確率p_dを使い、重ならない日への割当てを合計します。例えば2人の一致確率はΣp_d²であり、均等な1/365より小さくはなりません。さらに人どうしが独立でない集団なら、日別の確率だけでも足りません。どの集団をどう選んだかまで、モデルの条件として確認する必要があります。
参考資料
- Grinstead・Snell「Introduction to Probability」:順列、包除原理、条件付き確率の大学教材
- Dartmouth CHANCE「Chance News 12.04」:誕生日一致問題、組数、ポアソン近似についての検討
資料確認日:2026年10月2日。本文の数値例・模式図は、特記したものを除き本記事の説明用に作成しています。
