n人が持ち寄ったn個のプレゼントを、全ての配り方が同じ確率になるように1人1個ずつ配るとき、誰も自分の品を受け取らない確率は、人数が増えると約36.8%へ近づきます。人数が多いほど、限りなく0へ近づくわけではありません。
「自分に戻らない順列」を数える
人と、その人が持ってきた品に同じ番号1~nを付けます。例えば3人への配り方を「2、3、1」と書いたら、1番の人が2番の品、2番の人が3番の品、3番の人が1番の品を受け取るという意味です。
全員が違う番号の品を受け取る順列を、完全順列、または撹乱順列(derangement)と呼び、その個数をDₙとします。配り方は全部でn!通りなので、求めたい確率はDₙ/n!です。品を途中で戻したり、その人だけ引き直したりしない、単純な無作為配布を仮定しています。
| 人数n | 全配布n! | 完全順列Dₙ | 誰も自分の品を引かない確率 |
|---|---|---|---|
| 2 | 2 | 1 | 50% |
| 3 | 6 | 2 | 約33.333% |
| 4 | 24 | 9 | 37.5% |
| 5 | 120 | 44 | 約36.667% |
| 6 | 720 | 265 | 約36.806% |
| 8 | 40,320 | 14,833 | 約36.788% |
3人なら、六つを全部書ける
3人の配り方は123、132、213、231、312、321の6通りです。123では全員、132では1番、213では3番、321では2番の人が自分の品を受け取ります。誰にも戻らないのは231と312の2通り。したがって確率は2/6=1/3です。
「1人が自分の品を引かない確率は2/3だから、それを3回掛ける」という計算にはなりません。品を戻さず配るので、人ごとの出来事は独立でないからです。ある人にどの品が渡ったかによって、残りの人が受け取れる品が変わります。
包除原理で、重複を調整する
全n!通りから、「1番が自分の品を受け取る」「2番が自分の品を受け取る」などの配り方を除きます。ただし、2人とも自分の品を受け取る配り方は二重に引いてしまうので、一度足し戻します。3人がそろって戻るものは、さらに調整が必要です。
この引き算と足し算を続けると、$$D_n=n!-\binom n1(n-1)!+\binom n2(n-2)!-\cdots+(-1)^n$$が得られます。両辺をn!で割れば、$$\frac{D_n}{n!}=\sum_{k=0}^{n}\frac{(-1)^k}{k!}=1-1+\frac1{2!}-\frac1{3!}+\cdots+\frac{(-1)^n}{n!}$$です。
この和は$n\to\infty$で$e^{-1}\approx0.367879$へ近づきます。交代級数なので、n人での確率と$e^{-1}$との差は$1/(n+1)!$以下です。偶数人数では極限より少し大きく、奇数人数では少し小さくなり、表の上下の揺れも説明できます。
実際の交換会では、配り方のルールが重要
自分の品を引いた人だけ引き直す方式では、この確率式をそのまま使えません。例えば残り1個が最後の人自身の品になれば、その人だけでは引き直せません。また、その場で任意の相手と交換すると、最終的な配り方が全て同じ確率になるとも限りません。
完全順列を公平に一つ選びたいなら、全員分を一様にシャッフルし、一人でも自分へ戻ったら全体をやり直す方法が分かりやすいでしょう。各完全順列は同じ確率で受理されます。人数が十分多ければ1回の成功確率が約1/eなので、成功までの平均試行回数は約e=2.72回です。これは平均であって、必ず3回以内に終わるわけではありません。
単に誰にも自分の品が戻らなければよい場合は、全員を円順に並べて隣へ渡す方法もあります。ただし得られる配り方は一つの輪になるものだけで、全ての完全順列からの一様抽選とは違います。目的が「自己受取を避ける」なのか「全ての許された配布を等確率にする」なのかを、先に決めると混乱しません。
参考資料
- Grinstead・Snell「Introduction to Probability」:順列、包除原理、条件付き確率の大学教材
- Piotr Miska「Arithmetic Properties of the Sequence of Derangements and its Generalizations」:完全順列の数列と漸化式
資料確認日:2026年10月2日。本文の数値例・模式図は、特記したものを除き本記事の説明用に作成しています。
