52枚のトランプを26枚ずつに分け、毎回1枚ずつ正確に交互に重ねると、並びは周期的に元へ戻ります。ただし、最初と最後のカードを残すアウトシャッフルは8回、両端のカードが内側へ入るインシャッフルは52回です。「完璧なシャッフルなら8回」は、方式を省略した説明です。
二つの「交互」を区別する
上から順に1~8と番号を付けた8枚で見てみます。前半は1・2・3・4、後半は5・6・7・8です。各束の中の順序を保ったまま、前半から始めればアウト、後半から始めればインになります。カードを裏返したり、束の途中で順序を反転させたりはしません。
| 操作 | 操作後の並び |
|---|---|
| 操作前 | 1、2、3、4、5、6、7、8 |
| アウトを1回 | 1、5、2、6、3、7、4、8 |
| インを1回 | 5、1、6、2、7、3、8、4 |
アウトでは1番上と1番下が、そのまま両端に残ります。インでは、元の1番上は上から2番目、元の1番下は下から2番目へ入ります。英語のout/inも、この両端のカードの位置を手掛かりに覚えられます。
少ない枚数なら、実際に追える
| 回数 | 上からの並び |
|---|---|
| 0回 | 1、2、3、4、5、6、7、8 |
| 1回 | 1、5、2、6、3、7、4、8 |
| 2回 | 1、3、5、7、2、4、6、8 |
| 3回 | 1、2、3、4、5、6、7、8 |
8枚では3回で戻ります。枚数を52枚に変えると周期が8回になるのであって、「どんな枚数でも8回」ではありません。インシャッフルで同じ実験をすると、8枚の周期は6回になります。
52枚で8回になる数式
アウトでは、位置を上から0、1、…、51と番号付けします。最後の位置51は固定し、それ以外の位置iのカードは、1回で「2iを51で割った余り」の位置へ移ります。例えば元の位置25は50へ、元の位置26は1へ動きます。
したがって、k回後の位置は、最後のカードを除いて$2^k i\pmod{51}$です。全てを元へ戻す条件は$$2^k\equiv1\pmod{51}$$となります。$2^8=256=5\times51+1$であり、1回から7回までの$2^k$は余り1になりません。このため最小の周期は8です。
インシャッフルでは、53が現れる
インでは位置を1、2、…、52と数えると、移動先は2iを53で割った余りで表せます。位置26は52へ、位置27は1へ動きます。今度は0という余りが出ないので、1~52の位置だけで閉じています。
元へ戻る条件は$2^k\equiv1\pmod{53}$です。実際に調べると最小の正整数kは52で、$2^{26}\equiv-1\pmod{53}$となります。したがって26回で上下の順番が反転し、さらに26回で元へ戻ります。
本文の周期は、合同式だけでなくカードの配列を実際に並べ替える計算でも確認しました。アウト8回とイン52回は、偶然そろった回数ではなく、決まった並べ替えを反復した結果です。全体が元へ戻るまでに、個別のカードが先に元の位置へ戻ることはあります。
よく混ざることとは違う
完璧なシャッフルは、手順を知っていれば、どのカードがどこへ行くかを完全に予測できます。アウトだけを繰り返した52枚の束は、出発点を含む8種類の並びを巡るだけです。見た目が大きく入れ替わっても、52!通りの並びを無作為に選んでいるわけではありません。
実際のリフルシャッフルでは、分ける枚数や落とすカードの塊の大きさに揺らぎがあります。「何回混ぜると十分ランダムか」という研究は、そのような確率モデルと、十分とみなす尺度を決めて論じる別の問題です。8回戻る実験を試すときは、ジョーカーを除く52枚、正確な26枚分割、毎回同じアウト方式という三つの条件を確認して下さい。
参考資料
- Diaconis・Graham・Kantor「The Mathematics of Perfect Shuffles」:完全シャッフルの置換としての研究
- Johnsonほか「A look at generalized perfect shuffles」:イン/アウトおよび一般化されたシャッフルの定義
資料確認日:2026年10月2日。本文の数値例・模式図は、特記したものを除き本記事の説明用に作成しています。
