YouTubeの動画推奨アルゴリズムの変遷

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 2005〜2011年:再生回数による最適化

創設から何年もの間、YouTubeは、最も多くの視聴回数またはクリック数を集めた動画を推奨するようなアルゴリズムを採用していた。しかし、これはミスリードさせるようなタイトルやサムネイルの氾濫、クリックベイト (英語: Clickbait) の急増に繋がった。これによりユーザーエクスペリエンスは下落の一途を辿った。

 2012~2015年:総再生時間による最適化

2012年にYouTubeは従来のアルゴリズムを変更した。各動画の視聴に費やした時間などから、人々がどの動画を価値があり興味深いと感じるのかを評価し、推奨すべき動画をランキングするという方針を取った。これは、視聴者は質の良い動画であればあるほどより長く視聴するだろうという推測に基づいている。これにより、動画の尺が長ければよいという投稿者と、短く質の良い動画を多く製作すべきという投稿者に分かれることになった。

 2015~2016年:満足度による最適化

2015年、YouTubeはユーザー調査で視聴者の満足度を直接測定するようになった。Good/Bad、共有されたかどうか、興味がある/ない、などの膨大な数の回答を収集し、統計的に書く動画の満足度を割り出してランク付けした。

さらに2016年、YouTubeはAIによって様々な指標から満足度を計測してユーザーに推奨するアルゴリズムを実装した。これは「Deep Neural Networks for YouTube Recommendations」というホワイトペーパーにまとめられ、一時話題となった。2018年、YouTubeのチーフプロダクトオフィサーはパネルで、YouTubeでの視聴時間の70%はアルゴリズムが推奨する動画の視聴に費やされていると発表している。

 2017年~現在:ガイドラインの遵守、ブランドイメージの保護

2017年以降、AIが支援するユーザー満足度による評価と並行して、コミュニティガイドラインを遵守しているかどうかが動画の評価に大きく影響するようになった。2019年の初めに制定されたアルゴリズムの変更により、YouTubeのポリシーに抵触するかしないかの境界線付近のコンテンツ(borderline contents)の視聴が70%削減されたと報告している。

社会的な影響を考慮した内容の検閲も年々厳しくなってきている。これは巨大な動画プラットフォーム・ソーシャルメディアとしてのYouTubeがより慎重な対応を求められるようになったことが大きい。例えば、白人至上主義者と一緒に自分の名前やロゴを掲載したくないと考えるブランドや広告主に配慮するため、YouTube側は動画の推奨アルゴリズムを調整する必要に迫られる。これと同時に利用規約が事あるごとに改定され、絶えず変化するコミュニティガイドラインに誤って違反し、ストライキや収益化などで罰せられることをクリエイターが恐れる事態も招いている。

2021年の初めに、アメリカ合衆国の民主党が主導して「アメリカ人を危険なアルゴリズムから保護する法律」を制定したことは記憶に新しい。これはYouTubeだけでなく、FacebookやTwitterなどの巨大SNS企業に圧力を掛けるためでもある。

今後は、パフォーマンスとパーソナライズに加えて、一緒によく見られる動画、最近話題の動画、ユーザーが過去に視聴した動画、・・・などを基に、アルゴリズムが動画を推奨するようになっていくと考えられる。2021年には、ホームページ、もしくは推奨された動画からのトラフィック流入が最も多いという結果になっている。

Behind the Algorithms – How Search and Discovery Works on YouTube

※参考資料:
How Does the YouTube Algorithm Work in 2021? The Complete Guide — Paige Cooper


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