問題#C014

問題#C014 ★★☆☆

$x、y$ を自然数とする。

(1)$\dfrac{3x}{x^2+2}$ が自然数であるような$x$をすべて求めよ。

(2)$\dfrac{3x}{x^2+2}+\dfrac{1}{y}$ が自然数であるような組$(x,y)$をすべて求めよ。


《ポイント》

分数式が整数となるための必要条件から攻めます。本問では分子の次数が分母の次数より低いので問題無いですが、分数式を扱うときはまず分子の次数を下げることも忘れずに。


《解答例》

(1)

$\dfrac{3x}{x^2+2}$が自然数であるとき、$3x \geqq x^2+2$ が必要であるから、これを解いて $x=1$、$2$ を得る。

$x=1、2$ について$\dfrac{3x}{x^2+2}$はそれぞれ $1$、$1$ となり自然数になるから適する。ゆえに求める$x$は $x=1$、$2$ である。

(答)$x=1$、$2$

(2)

$\dfrac{3x}{x^2+2}$が自然数のときは$\dfrac{1}{y}$が自然数であればよいから $(x,y)=(1,1)$、$(2,1)$ は求める組である。

次に $\dfrac{3x}{x^2+2}<1$ のときを考える。このとき$\dfrac{1}{y}$は自然数ではないから、$$(0<) \ \dfrac{1}{y} \leqq \dfrac{1}{2} \ \cdots (\ast)$$となる。故に $\dfrac{3x}{x^2+2}+\dfrac{1}{y}$ が自然数となるためには$$\dfrac{1}{2} \leqq \dfrac{3x}{x^2+2}<1$$が必要であるから、これを解いて $x=3$、$4$、$5$ を得る。

ⅰ)$x=3$ のとき $\dfrac{3x}{x^2+2}=\dfrac{9}{11}$ および$(\ast)$より、$$\dfrac{9}{11} \leqq \dfrac{1}{y} \leqq \dfrac{9}{11}+\dfrac{1}{2}=\dfrac{19}{22}$$であるから、$\dfrac{9}{11}+\dfrac{1}{y}=1$ となる。

これを$y$について解くと $y=\dfrac{11}{2}$ を得るが、自然数でないので不適。

ⅱ)$x=4$ のとき $\dfrac{3x}{x^2+2}=\dfrac{2}{3}$ および$(\ast)$より、$$\dfrac{2}{3} \leqq \dfrac{1}{y} \leqq \dfrac{7}{6}$$であるから、$\dfrac{2}{3}+\dfrac{1}{y}=1$ となる。

これを$y$について解くと $y=3$ を得る。

ⅲ)$x=5$ のとき $\dfrac{3x}{x^2+2}=\dfrac{5}{9}$ および$(\ast)$より、$$\dfrac{5}{9} \leqq \dfrac{1}{y} \leqq \dfrac{19}{18}$$であるから、$\dfrac{5}{9}+\dfrac{1}{y}=1$ となる。

これを$y$について解くと $y=\dfrac{9}{4}$ を得るが、自然数でないので不適。

以上より、$\dfrac{3x}{x^2+2}+\dfrac{1}{y}$ が自然数であるような組$(x,y)$は $(x,y)=(1,1)$、$(2,1)$、$(4,3)$である。

(答)$(x,y)=(1,1)$、$(2,1)$、$(4,3)$


《コメント》

本問のように「分数式=整数」になる数を見つける問題では

「(分子)$\geqq$(分母)」

という必要条件が有効です。この基本さえ頭に入っていれば相加相乗平均などを持ち出すまでもありません。(2)の与式を通分して式変形しようとするとかえって式が煩雑になり、方針が立てにくくなってしまいます。第一手で運命が変わるコワい問題とも言えますが、整数問題の対策に手頃な良問でしょう。

なお、本問は2016年の北大前期文系の第4問です。翌年には理系文系前期第1問に整数問題が出ました。そういう意味では、遂に北大受験生も整数の対策をしなければならない時代がやってきたことを告げる歴史的な問題と言えるかもしれませんね・・・。

(出典:北海道大2016年文系第4問)


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