線形代数4.1.4

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 問題4.1.4

$V$はベクトル空間とする。$W_1$、$W_2$が$V$の部分空間ならば $W_1 \cap W_2$ も$V$の部分空間であることを示せ。

 

 ポイント

部分空間ベクトル空間$V$の部分集合$W$が$V$の和とスカラー倍によってベクトル空間となるとき、$W$を$V$の部分空間といいます。

定理4.1.1にある通り、ベクトル空間$V$の部分集合$W$が部分空間である必要十分条件は次の(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)のすべてが満たされることです。

(ⅰ) $0 \in W$
(ⅱ) $\boldsymbol{u}, \boldsymbol{v} \in W$ ならば $\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v} \in W$
(ⅲ) $\boldsymbol{u} \in W, c \in \boldsymbol{R}$ ならば $c \boldsymbol{u} \in W$

本問は集合 $W_{1} \cap W_{2}$ が定理4.1.1を満たすことを証明することで解決します。

 

 解答例

(ⅰ) $\mathbf{0} \in W_{1}$ かつ $\mathbf{0} \in W_{2}$ であるから $$\mathbf{0} \in W_{1} \cap W_{2}$$である。

(ⅱ) $\boldsymbol{u}, \boldsymbol{v} \in W_{1} \cap w_{2}$ とすると、$\boldsymbol{u}, \boldsymbol{v} \in W_{1}$ であるから $\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v} \in W_{1}$ となる。同様に $\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v} \in W_{2}$ となるから、$$\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v} \in W_{1} \cap W_{2}$$である。

(ⅲ) $\boldsymbol{u} \in W_{1} \cap W_{2}, \quad c \in \boldsymbol{R}$ とすると、$\boldsymbol{u} \in W_{1}$ であるから $c\boldsymbol{u} \in W_{1}$ となる。同様に $c\boldsymbol{u} \in W_{2}$ となるから、$$c\boldsymbol{u} \in W_{1} \cap W_{2}$$である。

以上より、$W_{1} \cap W_{2}$ は(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)を満たすから、定理4.1.1より、$W_1$,$W_2$が$V$の部分空間ならば $W_1 \cap W_2$ も$V$の部分空間であることが示される。

 


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