問題#A019 ★★☆☆
(1)$\dfrac{2n}{n+4}$が整数となるような整数$n$をすべて求めよ。
(2)$\dfrac{n^2+2n}{n+4}$が整数となるような整数$n$をすべて求めよ。
《ポイント》
分数式の問題です。分数式の鉄則はまず何と言っても
「分子の次数を下げる」
です。分子の次数が高いままだと絞り込みの見通しが立ちません。さらに本問のように「分数式=整数」となる問題では、分母は分子の約数となる必要があります。これらの事柄を組み合わせて候補を絞り込んでいきます。
《解答例》
以下、$n \ne -4$とする。
(1)
$\dfrac{2n}{n+4}=2-\dfrac{8}{n+4}$ となるから、これが整数になるためには $n+4$ が$8$の約数であることが必要である。故に$$n+4=\pm 1,\pm 2,\pm 4,\pm 8$$が必要で、$n=-12$、$-8$、$-6$、$-5$、$-3$、$-2$、$0$、$4$の8個が求める整数$n$である。
(答)$n=-12$、$-8$、$-6$、$-5$、$-3$、$-2$、$0$、$4$
(2)
$\dfrac{n^2+2n}{n+4}=n-2-\dfrac{8}{n+4}$ となるから、これが整数になるためには $n+4$ が$8$の約数であることが必要である。故に$$n+4=\pm 1,\pm 2,\pm 4,\pm 8$$が必要で、$n=-12$、$-8$、$-6$、$-5$、$-3$、$-2$、$0$、$4$の8個が求める整数$n$である。
《別解》
$\dfrac{n^2+2n}{n+4}$が整数となるとき、方程式 $n^2+2n=k(n+4)$ を満たす整数$k$が存在する。これを変形して$$n^2+(2-k)n-4k=0$$ $$\therefore n=\dfrac{k-2 \pm \sqrt{(2-k)^2+16k}}{2}$$を得る。$n$が整数であるためには根号内 $(2-k)^2+16k$ が完全平方数となることが必要である。そこで、ある自然数$N$を用いて$$(2-k)^2+16k=N^2$$と置くと、$$(k+6)^2-N^2=32$$ $$\therefore (k+6-N)(k+6+N)=32$$と因数分解できる。これより、組$(k+6-N,k+6+N)$は次の12通りに限られる。
$(\pm 1,\pm 32)$、$(\pm 2,\pm 16)$、$(\pm 4,\pm 8)$、$(\pm 8,\pm 4)$、$(\pm 16,\pm 2)$、$(\pm 32,\pm 1)$ (複号同順)
これらの組のうち$k$および$N$が整数となるものは$(\pm 2,\pm 16)$、$(\pm 4,\pm 8)$、$(\pm 8,\pm 4)$、$(\pm 16,\pm 2)$の8組である。それぞれの場合について$n$を求めると、$n=-12$、$-8$、$-6$、$-5$、$-3$、$-2$、$0$、$4$を得る。
(答)$n=-12$、$-8$、$-6$、$-5$、$-3$、$-2$、$0$、$4$
《コメント》
(1)と答えが一緒なのは偶然です(笑)。(2)について、$k+6-N$と$k+6+N$の和は偶数でなければならないので、$(\pm 1,\pm 32)$と$(\pm 32,\pm 1)$は直ちに除外できます。《別解》のように2次の場合は解の公式を用いても解けますが、計算がやや煩雑ですし、分子の次数下げから攻めた方が簡単であることがほとんどです。
1変数の分数式ならまだ簡単なのですが、2変数以上の分数式(例えば$\dfrac{x^2+y^2}{x+y}$など)になると途端に複雑になります。まずは1変数の分数式をマスターしましょう。