問題#Ⅰ004 ★☆☆☆
初項が$1$で公差が自然数$d$である等差数列の初項から第$n$項までの和を$S_n$とする。$n \geqq 3$ のとき、次の問に答えよ。
(1)$S_n=94$ となる$n$と$d$がちょうど一組ある。その$n$と$d$を求めよ。
(2)$S_n=98$ となる$n$と$d$の組はない。その理由を述べよ。
《ポイント》
等差数列の和の問題です。和の公式を使って条件を絞り込みましょう。
《解答例》
(1)
$$S_n=\dfrac{n}{2}\{2 \cdot 1+(n-1)d\}$$であるから、$$\dfrac{n}{2}\{2 \cdot 1+(n-1)d\}=94$$ $$\therefore n\{(n-1)d+2\}=2^2 \cdot 47$$を得る。$n \geqq 3$、$d \geqq 1$ のとき $$\begin{align} (n-1)d+2 &\geqq (n-1) \cdot 1+2 \\ &=n+1\,(>n) \end{align}$$より、可能な組み合わせは$n=4$ かつ $(n-1)d+2=47$に限られる。これより$$n=4,\ d=15$$を得る。
(答)$\color{red}{n=4,\ d=15}$
(2)
$S_n=98$ より、$$\dfrac{n}{2}\{2 \cdot 1+(n-1)d\}=98$$ $$\therefore n\{(n-1)d+2\}=2^2 \cdot 7^2$$を得る。(1)と同様に考えると、可能な組み合わせは$n=4$ かつ $(n-1)d+2=49$および$n=7$ かつ $(n-1)d+2=28$の2組に限られるが、それぞれ $d=\dfrac{47}{3}$、$d=\dfrac{13}{3}$ となり$d$が自然数であることに反し不適。よって $S_n=98$ となる$n$と$d$の組はない。
□
《コメント》
等差数列の和の公式が頭に入っていれば全く問題無いでしょう。本問では約数に着目する部分がありますが、因数分解のテクニックも特に不要なので文系数学とはいえ易問です。
(出典:神戸大学(文科)2004年)