問題#Ⅰ007 ★★☆☆
$1$から$n$までの自然数$1$、$2$、$3$、$\cdots$、$n$の和を$S$とするとき、次の問に答えよ。
(1)$n$を$4$で割った余りが$0$または$3$ならば、$S$が偶数であることを示せ。
(2)$S$が偶数ならば、$n$を$4$で割った余りが$0$または$3$であることを示せ。
(3)$S$が$4$の倍数ならば、$n$を$8$で割った余りが$0$または$7$であることを示せ。
《ポイント》
自然数の和に関する整数問題です。こちらも等差数列を扱っているので問題#Ⅰ004に似ています。難度は★2個に設定していますが、1.5個くらいかもしれません。
《解答例》
まず、$S=\dfrac{1}{2}n(n+1)$ である。
(1)
$k$を整数とする。$n=4k$ と表せるとき、$$\begin{align}S &=\dfrac{1}{2}\cdot 4k(4k+1) \\ &=2k(4k+1)\end{align}$$となり、$S$は偶数となる。また、$n=4k+3$ と表せるとき、$$\begin{align}S &=\dfrac{1}{2}\cdot (4k+3)(4k+4) \\ &=2(k+1)(4k+3)\end{align}$$となり、$S$は偶数となる。
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(2)
$S$が偶数のとき、整数$l$を用いて $S=2l$ と置けるので、$$\begin{align}2l &=\dfrac{1}{2}n(n+1) \\ \therefore 4l&=n(n+1) \end{align}$$となる。これより右辺は$4$の倍数となることが必要である。$n$ と $n+1$ は互いに素なので、$n$ または $n+1$ のいずれか一方が$4$の倍数となる。故に$n$は、$4$で割った余りが$0$または$3$であるような整数となる。
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(3)
$S$が$4$の倍数のとき、整数$m$を用いて $S=4m$ と置けるので、$$\begin{align}4m &=\dfrac{1}{2}n(n+1) \\ \therefore 8m&=n(n+1) \end{align}$$となる。これより右辺は$8$の倍数となることが必要である。$n$ と $n+1$ は互いに素なので、$n$ または $n+1$ のいずれか一方が$8$の倍数となる。故に$n$は、$8$で割った余りが$0$または$7$であるような整数となる。
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《コメント》
(1)を誘導として(2)で「転換法」や「対偶証明法」による証明を行うことも可能ですが、誘導設問とは見なさず素直に解く方が試験場においてはごく自然でしょう。(3)も(2)を誘導とせず、同様に素直に解いてしまいましょう。わざわざ出題者の意図に沿う必要はありません。
$n$ と $n+1$ が互いに素であるという条件が効いているので、この手の問題にありがちな素因数の個数による場合分けが不要になっています。もし$S$が二乗和などであれば場合分けが必要になります。
(出典:神戸大学 2008年)