問題#Ⅰ010 ★★☆☆
自然数$n$に対して、$a_n=3n^2+28n+30$、$b_n=3n+24$ とする。$a_n$と$b_n$の最大公約数を$D_n$とし、$S_n=\displaystyle \sum_{k=1}^{n} D_k$ とする。
(1)$D_1$、$D_2$、$D_3$と$D_6$を求めよ。
(2)$S_{12}$と$S_{20}$を求めよ。
(3)$S_n$が$60$の倍数となる、$100$以下の自然数$n$をすべて求めよ。
《ポイント》
前問に続き、数列の最大公約数に関する問題ですが、こちらは実質的に多項式の互除法の問題です。互除法でミスなく次数下げできれば悩むような部分はありません。
《解答例》
(1)
まず、一般の$n$について$a_n$と$b_n$の最大公約数$D_n$を考える。$\mathrm{GCD}(a,b)$で2整数$a$、$b$の最大公約数を表すことにすると、$$\begin{align}D_n &= \mathrm{GCD}(a_n,b_n) \\ &=\mathrm{GCD}(3n^2+28n+30,3n+24) \\ &=\mathrm{GCD}(3n^2+28n+30-(n+1)(3n+24),3n+24) \\ &=\mathrm{GCD}(n+6,3n+24) \\ &=\mathrm{GCD}(n+6,3n+24-3(n+6)) \\ &=\mathrm{GCD}(n+6,6) \\ &=\mathrm{GCD}(n+6-1\cdot6,6) \\ &=\mathrm{GCD}(n,6) \end{align}$$となる。これより$$D_1=1,\,D_2=2,\,D_3=3,\,D_6=6$$と求められる。
(答)$D_1=\color{red}{1},\,D_2=\color{red}{2},\,D_3=\color{red}{3},\,D_6=\color{red}{6}$
(2)
$D_n=\mathrm{GCD}(n,6)$ より、$D_n$は周期$6$で $1,\,2,\,3,\,2,\,1,\,6$ の値をとるため、$n$を$6$で割ったときの商を$m$、余りを$r$とすると、$S_n$は$$S_n=S_{6m+r}=15m+S_r$$と表すことができる(ただし $S_0=0$ とする)。したがって$S_{12}$と$S_{20}$はそれぞれ、$$S_{12}=15\cdot2=30$$ $$S_{20}=15\cdot3+S_2=45+3=48$$と求められる。
(答)$S_{12}=\color{red}{30},\,S_{20}=\color{red}{48}$
(3)
$S_0=0$、$S_1=1$、$S_2=3$、$S_3=6$、$S_4=8$、$S_5=9$、$S_6=15$ となるから、$S_n$、即ち $15m+S_r$ が$60$の倍数となるには、$m=4k$ かつ $r=0$ が必要となる。この条件を満たす自然数$n$のうち$100$以下のものは$24$、$48$、$72$、$96$である。
(答)$24$、$48$、$72$、$96$
《コメント》
解答例では$n$を$\bmod{6}$で考えています。(3)のような問題では$n$を余りで分類して$S_n$を顕わに式化した方が、解答の見通しが良くなることが多いです。
(出典:大阪教育大学(後期) 2016年)