問題#Ⅰ014 ★★☆☆
自然数に対して、、をを満たす自然数とする。このとき、以下の問いに答えよ。
(1) のとき、およびをとを用いて表せ。
(2) を求めよ。
(3)(2)を用いて、を誤差未満で近似する有理数を1つ求めよ。
《ポイント》
誘導に乗れれば良いのですが、(3)の発想がやや難しいかもしれません。という分数が出てきていますので、(2)の結果から分数を作ることを念頭に式変形を考えましょう。
《解答例》
(1)
漸化式より、
と式変形できるから、を得る。
(答)
(2)
(1)より、となるので、 は定数の数列である。よってと求められる。
(答)
(3)
(2)より、 と式変形できる。
ここで(1)の漸化式を用いることで 、 を得る。これより のときとなるから、求める有理数を1つは$$である。
(答)
《コメント》
(1)ではが無理数であることを無断で認めていますが、特に問題ないと思います。時間が余って他にすることが無ければが無理数であることを証明しても良いでしょう。(少し難しく言うと、二次体における基底の一次独立性についての説明が必要かどうかはその都度判断すべきだろう、というお話です)
を近似するので、近似値となる有理数ととの差を評価すれば良いと考えて式変形するのが妥当でしょう。因みに、の一般項は次のように表されます。 を大きくするとは指数関数オーダーで減少し極めて小さな値となるので、比はそれほど大きくないでもほとんどに等しくなると見当が付きます(疑問に思う方は比について の極限計算をしてみて下さい)。
実際のところ、本問は一般項を導出するまでもなく解決するので、
漸化式 ⇒ 一般項
と条件反射的に考えてしまうとかえって不利になってしまいます(時間がかかるだけでなく無用な計算ミスを犯してしまう恐れもあります)。「小さいで実験」というのは原始的な方法ではありますが、どんな問題に対しても大切な方針であることに変わりありません。
(出典:名古屋大学(後期) 2004年)
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