問題6.1.6
$a_n>0$、$\displaystyle \lim_{n \to \infty} a_n=0$、$a_1 \geqq a_2 \geqq a_3 \geqq \cdots$ ならば、$\displaystyle \sum^{\infty}_{n=1} (-1)^{n+1}a_n$ は収束することを示し、これを用いて、$1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}+\cdots$ は収束することを示せ。
《ポイント》
交代級数の基本は項番号の偶奇で別々に数列を考えることです。仮定がやや多いので、議論の飛躍や論拠の混乱が無いように証明しましょう。
因みに、$$1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}+\cdots$$という数列は「メルカトル級数」と呼ばれ、その極限値は $\log 2$ となることが知られています。
《解答例》
(補題の証明)
$\displaystyle A_{N}=\sum_{n=1}^{N}(-1)^{n+1} a_{n}$ と置くと、$$\begin{cases} A_{2N-1} &=\left(a_{1}-a_{2}\right)+\cdots+a_{2N-1} \\ A_{2N} &=\left(a_{1}-a_{2}\right)+\cdots+\left(a_{2N-1}-a_{2N}\right) \end{cases}$$となる。$a_{2N-1}-a_{2N} \geqq 0$ および $a_1 \geqq a_2 \geqq a_3 \geqq \cdots$ より、数列$A_{2N}$は単調増加数列であり、$A_{2N} \leqq a_1$ であるから$A_{2N}$は有界である。よって$A_{2N}$は上に有界な単調増加数列であるから、ある極限値$S$に収束する。
また、$$\begin{align} & \displaystyle \lim _{N \to \infty} A_{2N-1} \\ =& \lim _{N \to \infty}\left(A_{2(N-1)}+a_{2N-1}\right) \\ =& \lim _{N \to \infty}A_{2(N-1)}+\lim _{N \to \infty}a_{2N-1} \\ =& S+0 \\ =& S \end{align}$$となるから、$\displaystyle \lim _{N \to \infty} A_{N}=S$ である。したがって、$\displaystyle \sum^{\infty}_{n=1} (-1)^{n+1}a_n$ は収束する。
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$a_n=\dfrac{1}{n}$ と置くと、$a_n>0$、$\displaystyle \lim_{n \to \infty} a_n=0$、$a_1 \geqq a_2 \geqq a_3 \geqq \cdots$ を満たす。よって補題より、このとき $\displaystyle \sum^{\infty}_{n=1} (-1)^{n+1}a_n$ は収束するから、$1-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}+\cdots$ は収束する。
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復習例題は設定していません。