問題6.2.6
整級数 $\displaystyle\sum a_{n} x^{n}$ と $\displaystyle\sum n a_{n} x^{n-1}$ の収束半径は一致することを示せ。
《ポイント》
教科書の末尾にも解答がありますが、やや省略気味です。基本的には定理6.2.1の証明に沿って示すことができます。項別微分が可能であることから示すこともできますが、以下の解答例の方が丁寧な証明になっています。
《解答例》
$\displaystyle\sum n a_{n} x^{n}$ の収束半径と $\displaystyle\sum n a_{n} x^{n-1}$ の収束半径は一致することに注意すると、$\displaystyle\sum a_{n} x^{n}$ の収束半径と $\displaystyle\sum n a_{n} x^{n}$ の収束半径を比較すればよい。
$\displaystyle\sum a_{n} x^{n}$ の収束半径を $r_1$、$\displaystyle\sum n a_{n} x^{n}$ の収束半径を $r_2$ とする。
$\left|a_{n} x^{n}\right| \leqq \left|n a_{n} x^{n}\right|$ であるから、$\displaystyle\sum \left|n a_{n} x^{n}\right|$ が収束すれば $\displaystyle\sum \left|a_{n} x^{n}\right|$ も収束する。これより$$r_1 \geqq r_2$$が成り立つ。
また、$\displaystyle\sum \left|a_{n} x^{n}\right|$ が収束するなら $\left|a_{n} x^{n}\right|$ は有界である。そこで$$\left|a_{n} {\alpha}^{n}\right| \leqq M \quad \cdots (*)$$となるような実数$\alpha$が存在して、$|x|<|\alpha|$ のとき $\left|\dfrac{x}{\alpha}\right|<1$ であるから、$(*)$式より、$$n\left| a_{n} x^{n}\right|=n\left| a_{n} {\alpha}^{n}\right|\left|\dfrac{x}{\alpha}\right|^{n} \leqq nM\left|\dfrac{x}{\alpha}\right|^{n} \quad \cdots (**)$$ となる。ここで、$\displaystyle\sum n x^{n}$ の収束半径は $1$ であるから、$\displaystyle\sum n\left|\dfrac{x}{\alpha}\right|^{n}$ は収束する。よって $\displaystyle\sum nM\left|\dfrac{x}{\alpha}\right|^{n}$ は定数に収束するから、$(**)$式より、$\displaystyle\sum n a_{n} x^{n}$ も収束する。したがって$$r_1 \leqq r_2$$となり、$r_1 \geqq r_2$ とあわせて$$r_1 = r_2$$が示される。
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復習例題は設定していません。