微積7.1.8

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問題7.1.8

関数 $y=y(x)$ が、微分方程式 $y’=\dfrac{y}{2y-x}$ を満たし、初期条件 $y(1)=a$ で与えられるとき $\displaystyle \lim_{x \to \infty}\dfrac{y(x)}{x}$ を調べよ。

《ポイント》

問題文の条件から微分方程式を立式します。最終的には斉次型の1階線形微分方程式に帰着します。


《解答例》

$$\begin{aligned} y^{\prime} &=\dfrac{y}{2 y-x} \\ &=\dfrac{1}{2-\dfrac{x}{y}}\end{aligned}$$ より、これは斉次型の1階線形微分方程式である。そこで $y=xz$ とおくと $y^{\prime}=z+x z^{\prime}$ であるから$$z+x z^{\prime}=\dfrac{1}{2-\dfrac{1}{z}}$$ $$\therefore xz^{\prime}=-\dfrac{2 z(z-1)}{2 z-1}$$と変形できる。よって、$$\int \frac{2 z-1}{2 z(z-1)} d z=-\int \frac{1}{x} d x+c_{1}$$ $$\therefore \frac{1}{2} \int \frac{2(z-1)+1}{z(z-1)} d z=-\int \frac{1}{x} d x+c_{1}$$ $$\therefore \frac{1}{2} \int\left(\frac{2}{z}+\frac{1}{z-1}-\frac{1}{z}\right) d z=-\int \frac{1}{x} d x+c_{1}$$ $$\therefore \frac{1}{2}(2 \log |z|+\log |z-1|-\log |z|)=-\log |x|+c_{2}$$となるから、これを整理して$$x y-y^{2}=c$$を得る。初期条件より、$x=1$ のとき $y=a$ となるから$$c=a-a^2$$となり、$$x y-y^{2}=a-a^2$$を得る。

これを$y$について解くと、$$\begin{cases} y=\dfrac{x+\sqrt{x^{2}+4\left(a^{2}-a\right)}}{2}\left(a>\dfrac{1}{2}\right)\\ y=\dfrac{x-\sqrt{x^{2}+4\left(a^{2}-a\right)}}{2}\left(a<\dfrac{1}{2}\right) \end{cases}$$となる。また $a=\dfrac{1}{2}$ のときは解は一意に定まらない。

以上より、

$a>\dfrac{1}{2}$ のとき $\displaystyle \lim _{x \to \infty} \dfrac{y}{x}=1$、

$a<\dfrac{1}{2}$ のとき $\displaystyle \lim _{x \to \infty} \dfrac{y}{x}=0$、

$a=\dfrac{1}{2}$ のとき極限は一意に定まらない。


復習例題は設定していません。


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