微積7.2.3b

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問題7.2.3b

次の線形微分方程式の一般解を求めよ。

(3)$(D-2)(D+3)y=\cos x$

(4)$(D^3+D^2+D+1)y=e^x$

《ポイント》

線形微分方程式$$F(D)y=q(x)$$の一般解は、斉次微分方程式$$F(D)y=0$$の一般解と$$F(D)y=q(x)$$の特殊解の和で与えられます。

(3)を真面目に解くのは結構骨が折れます。その場合は$$\small{\frac{1}{D^{2}+a^{2}} q(x)=\frac{1}{a}\left(\sin a x \int q(x) \cos a x d x-\cos a x \int q(x) \sin a x d x\right)}$$の関係式を使って計算しますが、(3)の右辺が三角関数しか含まないことから特殊解 $y_0$ を$$y_{0}=a \cos x+b \sin x$$と置いて計算を始めるとかなり省力化できます。解答例ではこの事実を暗黙の了解として利用します。


《解答例》

(3)$(D-2)(D+3)y=\cos x$

$(D-2)(D+3)y=0$ の一般解は$$y=c_{1} e^{2x}+c_{2} e^{-3 x}$$である。特殊解 $y_0$ を $y_{0}=a \cos x+b \sin x$ と置き、$$(D-2)(D+3)y_0=\cos x$$と置いて係数 $a$、$b$ を求める。この左辺を整理すると$$(-7 a+b) \cos x+(-a-7 b) \sin x$$となるので、右辺と係数を比較することにより、$$\begin{cases}
-7 a+b=1 \\
-a-7 b=0
\end{cases}$$を得る。これより $a=-\dfrac{7}{50}$、$b=\dfrac{1}{50}$ となるから、$$y_{0}=\frac{1}{50}(-7\cos x+\sin x)$$と求められる。

したがって $(D-2)(D+3)y=\cos x$ の一般解は$$y=c_{1} e^{2x}+c_{2} e^{-3 x}+\frac{1}{50}(-7\cos x+\sin x)\quad \cdots (\text{答})$$である。ただし、$c_{1}$、$c_{2}$ $\in \mathbb{R}$ である。

 

(4)$(D^3+D^2+D+1)y=e^x$

$D^3+D^2+D+1=(D+1)(D^2+1)$ であることに注意する。

$(D+1)y=0$ の一般解は$$y=c_{1} e^{-x}$$であり、$\left(D^{2}+1\right) y=0$ の一般解は$$c_{2} \cos x+c_{3} \sin x$$である。よって $(D^3+D^2+D+1)y=0$ の一般解は$$y=c_{1} e^{-x}+c_{2} \cos x+c_{3} \sin x$$となる。特殊解は$$\frac{1}{\left(D^{3}+D^{2}+D+1\right)} e^{x}=\frac{1}{4} e^{x}$$となるから、$(D^3+D^2+D+1)y=e^x$ の一般解は$$y=c_{1} e^{-x}+c_{2} \cos x+c_{3} \sin x + \frac{1}{4} e^{x}\quad \cdots (\text{答})$$である。ただし、$c_{1}$、$c_{2}$、$c_{3}$ $\in \mathbb{R}$ である。

 


復習例題は設定していません。


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