問題2.3.3
連立1次方程式 $(*)$ $A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b}$ の1つの解を$\boldsymbol{x}_0$とする。同次形の連立1次方程式 $(**)$ $A\boldsymbol{x}=0$ の解$\boldsymbol{x}_1$に対し、$\boldsymbol{x}_0+\boldsymbol{x}_1$ は$(*)$の解であることを示せ。また$(*)$の解は全て $\boldsymbol{x}_0+\boldsymbol{x}_1$ と書けることを示せ。
ポイント
本問は一般的な事実の証明であり、行列の成分をマジメに計算する必要はありません。式変形のみで解決できます。
この命題が具体的に何を言っているのかというと、方程式$$(**) \left\{ \begin{array}{l} ax+by=0 \\ cx+dy=0 \end{array} \right.$$の解を$(X,Y)$とするとき、方程式$$(*) \left\{ \begin{array}{l} ax+by=k \\ cx+dy=l \end{array} \right.$$の一般解は、ある解$(x_0,y_0)$を用いて$$(x_0+X,y_0+Y)$$と表せる、ということを主張しています。これは一次不定方程式の一般解を求めた経験があれば納得できるのではないでしょうか。
上記のものは2元の場合ですが、本問ではそれを一般化して証明するという趣旨になっています。
解答例
$$\begin{align}
A\left(\boldsymbol{x}_{0}+\boldsymbol{x}_{1}\right) &=A \boldsymbol{x}_{0}+A \boldsymbol{x}_{1} \\
&=\boldsymbol{b}+\mathbf{0} \\
&=\boldsymbol{b}
\end{align}$$となるから、$\boldsymbol{x}_0+\boldsymbol{x}_1$ は$(*)$の解である。
また、$(*)$の解を$\boldsymbol{x}$とすると$$\begin{align}
A\left(\boldsymbol{x}-\boldsymbol{x}_{0}\right) &=A \boldsymbol{x}-A \boldsymbol{x}_{0} \\
&=\boldsymbol{b}-\boldsymbol{b} \\
&=\mathbf{0}
\end{align}$$となるから、$\boldsymbol{x}_1=\boldsymbol{x}-\boldsymbol{x}_0$ と置けばこれは同次形の方程式$(**)$の解となる。よって、$(*)$の解は全て $\boldsymbol{x}_0+\boldsymbol{x}_1$ と書き表せる。
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