問題2.4.4
次を示せ。
(1)$A$が正則ならば、$A^{-1}$も正則で$(A^{-1})^{-1}=A$
(2)$A$が正則ならば、${}^t\!A$も正則で$({}^t\!A)^{-1}={}^t\!(A^{-1})$
(よってこの行列を${}^t\!A^{-1}$と書いてよい)
(3)$A$、$B$が正則ならば、$AB$も正則で$(AB)^{-1}=B^{-1}A^{-1}$
ポイント
単位行列を用いると上手く処理します。行列の成分の計算は一切不要です。
解答例
(1)
$A^{-1}A=E$ であるから $A^{-1}$ は $A$ の逆行列である。故に $A^{-1}$ は正則であり、$$(A^{-1})^{-1}=A$$が成り立つ。
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(2)
$A^{-1}A=E$ について両辺の転置行列をとると、$${ }^{t}\!A^{-1}\left(A^{-1}\right)={ }^{t}\!E=E$$となる。故に ${}^t\!A$ は正則であり、$$({}^t\!A)^{-1}={}^t\!(A^{-1})$$が成り立つ。
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(3)
$$\begin{align} A B\left(B^{-1} A^{-1}\right) &=A B\left(B^{-1} A^{-1}\right) \\ &=A A^{-1} \\ &=E \end{align}$$より、$AB$ は正則であり、$$(AB)^{-1}=B^{-1}A^{-1}$$が成り立つ。
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