線形代数2.4.5

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 問題2.4.5

$A$、$B$が可換ならば、次の行列の組も可換であることを示せ。

(1)$A^{-1}$、$B$

(2)$A^{-1}$、$B^{-1}$

(3)${}^t\!A$、${}^t\!B$

 

 ポイント

$A$、$B$が可換のときは$$AB=BA$$が成り立つので、この等式から議論を始めます。

 

 解答例

(1)

$AB=BA$ の左右から$A^{-1}$を掛けると、$$A^{-1} A B A^{-1}=A^{-1} B A A^{-1}$$ $$\therefore B A^{-1}=A^{-1} B$$となる。故に$A^{-1}$、$B$は可換である。

(2)

$AB=BA$ の両辺の逆行列をとると、$$(A B)^{-1}=B^{-1} A^{-1}$$ $$\therefore (B A)^{-1}=A^{-1} B^{-1}$$ $$\therefore B^{-1} A^{-1}=A^{-1} B^{-1}$$より、$A^{-1}$、$B^{-1}$は可換である。

(3)

$AB=BA$ の両辺の転置行列をとると、左辺は$${}^{t}\!\left(AB\right)={}^{t}\!B{}^{t}\!A$$となり、右辺は$${}^{t}\!\left(BA\right)={}^{t}\!A{}^{t}\!B$$となる。故に$${}^{t}\!B{}^{t}\!A={}^{t}\!A{}^{t}\!B$$が成り立つから、${}^t\!A$、${}^t\!B$は可換である。

 


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