問題3.1.7
問6、問7を用いて、$\sigma \in S_{n}$に対して$$\sigma \varDelta\left(x_{1}, \cdots, x_{n}\right)=(-1)^{m} \varDelta\left(x_{1}, \cdots, x_{n}\right)$$を示せ。ここで$m$は$\sigma$を互換の積に分解したときの互換の個数である。また、これを用いて$\operatorname{sgn}(\sigma)$は$\sigma$を互換の積で表したときの表し方によらないことを示せ。
ポイント
$\sigma$を2通りの互換の積 $\sigma=\sigma_{m} \sigma_{m-1} \cdots \sigma_{1}$ および $\sigma=\tau_{l} \tau_{l-1} \cdots \tau_{1}$ に分解できると仮定し、$\operatorname{sgn}(\sigma)$が $l$ によらないことを示します。
解答例
$$\sigma=\sigma_{m} \sigma_{m-1} \cdots \sigma_{1}$$と互換の積に分解すると$$\begin{aligned}
\sigma \varDelta &=\sigma_{m} \sigma_{m-1} \cdots \sigma_{1} \varDelta \\
&=-\left(\sigma_{m} \cdots \sigma_{2} \varDelta \right) \\
&=(-1)^{m} \varDelta
\end{aligned}$$と整理できる。
また、$\sigma$が $l$ 個の互換の積$$\sigma=\tau_{l} \tau_{l-1} \cdots \tau_{1}$$に分解できるとすると、同様にして $\sigma \varDelta =(-1)^{l} \varDelta $ となるから、$$(-1)^{m} \varDelta =(-1)^{l} \varDelta $$を得る。いま、$\varDelta \ne 0$ であるから、$$(-1)^{m}=(-1)^{l}$$が成り立つ。故に$\operatorname{sgn}(\sigma)$は$\sigma$を互換の積で表したときの表し方によらない。
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