線形代数4.1.5

前に戻る トップへ戻る

 

 問題4.1.5

$V$はベクトル空間$W_1$、$W_2$が$V$の部分空間とする。 $W_1 \cup W_2$ が$V$の部分空間ならば、$W_{1} \subset W_{2}$ または $W_{1} \supset W_{2}$ となることを示せ。

 

 ポイント

部分空間ベクトル空間$V$の部分集合$W$が$V$の和とスカラー倍によってベクトル空間となるとき、$W$を$V$の部分空間といいます。

定理4.1.1にある通り、ベクトル空間$V$の部分集合$W$が部分空間である必要十分条件は次の(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)のすべてが満たされることです。

(ⅰ) $0 \in W$
(ⅱ) $\boldsymbol{u}, \boldsymbol{v} \in W$ ならば $\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v} \in W$
(ⅲ) $\boldsymbol{u} \in W, c \in \boldsymbol{R}$ ならば $c \boldsymbol{u} \in W$

本問では問題文のままストレートに示すのが面倒なので、背理法で証明することにします。

 

 解答例

以下、$\boldsymbol{u} \in V$、$\boldsymbol{v} \in V$ として背理法で示す。

$W_{1} \not\subset W_{2}, \quad W_{1} \not\supset W_{2}$ とすると、

$\boldsymbol{u} \in W_{1}, \boldsymbol{u} \notin W_{2}$ となる $\boldsymbol{u}$

および

$\boldsymbol{v} \in W_{2}$、$\boldsymbol{v} \notin W_{1}$ となる $\boldsymbol{v}$

が存在する。

ここで仮定より、$\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v} \in V$ だから$$\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v} \in W_{1} \cup W_{2}$$となるが、もし $\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v} \in W_{1}$ ならば$$\boldsymbol{v}=(\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v})-\boldsymbol{u} \in W_{1}$$となり矛盾する。

一方で、$\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v} \in W_{2}$ の場合も$$\boldsymbol{v}=(\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v})-\boldsymbol{u} \in W_{2}$$となり矛盾となる。

よって不合理であるから、$W_{1} \not\subset W_{2}, \quad W_{1} \not\supset W_{2}$ のいずれかが成り立たなければならない。

よって題意は示された。

 


前に戻る トップへ戻る