問題4.2.6
$\boldsymbol{u}_{1}$、$\boldsymbol{u}_{2}$、$\cdots$、$\boldsymbol{u}_{m}$が1次独立で$\boldsymbol{v}$が $\boldsymbol{v}=c_{1} \boldsymbol{u}_{1}+c_{2} \boldsymbol{u}_{2}+\cdots+c_{m} \boldsymbol{u}_{m}$ と$\boldsymbol{u}_{1}$、$\boldsymbol{u}_{2}$、$\cdots$、$\boldsymbol{u}_{m}$の1次結合で表されるとき、$c_{1}$、$c_{2}$、$\cdots$、$c_{m}$は唯一通りに決まることを示せ。
ポイント
定理4.2.5の特別な場合です。一意性の証明は、2通りの方法で表せるとする仮定を否定して背理法で示すのが定石です。
解答例
一意に表されないと仮定する。このとき$$\small \begin{cases} \vec{v} = c_1\vec{u}_1+ c_2\vec{u}_2+ \cdots+ c_m\vec{u}_m \\ \vec{v}= c_1’\vec{u}_1+ c_2’\vec{u}_2+ \cdots+ c_m’\vec{u}_m \end{cases}$$と書ける。これらの差をとると$$\small \vec{0} = (c_1-c’_1)\vec{u}_1+ (c_2-c’_2)\vec{u}_2+ \cdots+ (c_m-c_m)\vec{u}_m$$となる。これは $ \vec{u}_1,\cdots,\vec{u}_m$ に関する1次関係である。$ \vec{u}_1,\cdots,\vec{u}_m$ は1次独立であるから、$$\small \displaystyle c_1-c’_1=0, c_2-c’_2=0, \cdots, c_m-c’_m=0$$であり、これより$$\small c_1=c’_1, c_2=c’_2, \cdots, c_m=c’_m$$が成り立つ。したがって、係数$c_{1}$、$c_{2}$、$\cdots$、$c_{m}$は一意に定まる。
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