線形代数4.3.2

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 問題4.3.2

$A$ が $l \times m$ 行列、$B$ が $m \times n$ 行列のとき、次を示せ。

(1)$\text{rank}(AB) \leqq \text{rank}(A)$ 

(2)$\text{rank}(AB) \leqq \text{rank}(B)$

 

 ポイント

1次独立な列ベクトルの最大個数 $r$ が行列のランクに相当するという事実を用います。(2)は$B$ の行ベクトルを考えると(1)と同様に議論できます。あるいは、転置行列を考えて(1)に帰着してもよいでしょう。

 

 解答例

(1)

$A$ の列ベクトルを $\boldsymbol{a}_{1}, \cdots, \boldsymbol{a}_{m}$ とすると $AB=\left[\boldsymbol{a}_{1} \cdots \boldsymbol{a}_{m}\right] B$ であるから $AB$ の列ベクトルは $\boldsymbol{a}_{1}, \cdots, \boldsymbol{a}_{m}$ の1次結合である。よって$$\begin{align} \text{rank}(AB) &= AB \text{ の列ベクトルの1次独立な最大個数} \\ & \leqq A \text{ の列ベクトルの1次独立な最大個数} \\ &=\text{rank}(A) \end{align}$$となるから、題意は示される。

(2)

$B$ の行ベクトルを $\boldsymbol{b}_{1}, \cdots, \boldsymbol{b}_{m}$ とすると $AB=A\left[\begin{array}{c} \boldsymbol{b}_{1} \\ \vdots \\ \boldsymbol{b}_{m} \end{array}\right]$ であるから $AB$ の行ベクトルは $\boldsymbol{b}_{1}, \cdots, \boldsymbol{b}_{m}$ の1次結合である。よって$$\begin{align} \text{rank}(AB) &= AB \text{ の行ベクトルの1次独立な最大個数} \\ & \leqq B \text{ の行ベクトルの1次独立な最大個数} \\ &=\text{rank}(B) \end{align}$$となるから、題意は示される。

 


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