線形代数4.3.3

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 問題4.3.3

行列$A$からいくつかの行といくつかの列を取り除いて得られる行列を$A$の小行列という。行列$A$に対し次を示せ。$$\begin{align} \text{rank}(A) =r \iff & A \text{の小行列のうち行列式が 0 でない} \\ &\text{ものの最大次数は } r \text{ である。}\end{align}$$

 

 ポイント

$$\begin{align} \text{rank}(A) &= A \text{ の列ベクトルの1次独立な最大個数} \\ &= A \text{ の行ベクトルの1次独立な最大個数} \end{align}$$の関係を利用します。十分性と必要性を分けて証明するのが良いでしょう。

 

 解答例

($\Longrightarrow$の証明)

$\text{rank}(A)=r$ とする。このとき、$A$の列ベクトルの1次独立な最大個数は$r$個である。よって、$A$の小行列が$k$($k \geqq r+1$)次正方行列のとき、$k$個の列ベクトルは1次独立ではないので、行列式は$0$となる。

また、行列$A$から1次独立な$r$個の列ベクトル以外を取り除き、次にその行列の行ベクトルのうち1次独立な$r$個の行ベクトル以外を取り除いてできる$A$の小行列は$r$次正則行列となり、その行列式は$0$でない。

よって、$A$の小行列のうち行列式が0でないものの最大次数は$r$である。

($\Longleftarrow$の証明)

$\text{rank}(A) \ne r$ とする。このとき、$\text{rank}(A)=k\,(k \neq r)$ となるので、$A$の小行列のうち行列式が0でないものの最大次数は$k$である。よって、$A$の小行列のうち行列式が$0$でないものの最大次数は$r$ではない。

よってこの対偶も真であるから、$A$の小行列のうち行列式が$0$でないものの最大次数が$r$でないならば $\text{rank}(A) \ne r$ である。

 

以上より、題意は示された。

 


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